断熱等級5・6・7の性能はいかほど?

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クロセの記事を読むのが初めての方は、まずこちらの記事をお読みください。

今回は新たに追加される断熱等級5・6・7について書いていきます。

2022/4から断熱等級5が新設されました。

また、2022/10から断熱等級6・7が追加される予定です。

断熱等級4は最高等級というには物足りず、実際にそれ以上の断熱性を持つ家がすでに建っているわけですが、その現状に対応するため新たに等級が追加されました。

ただ、5・6・7といきなり追加されても実際のところどれくらいの実力なのか?
等級7が最高等級にふさわしい指標になっているのか。

正直なところわからない人がほとんどかと思います。

本記事では追加された等級が実力的にどんなものかというのを、素人なりにかみ砕いてみようと思います。

断熱等級5:ZEH基準レベル

断熱等級5はZEH基準のUA値となっています。

住生活産業総合情報ウェブマガジンより抜粋

過去の記事でも述べていますが、ZEH基準はこれから新築する際に最低限確保しておきたいレベルの断熱性です。

この断熱性に加えて、気密性も確保されていれば、エアコンで充分快適に過ごせますし、間欠空調でうまく運用すれば電気代もそこまで高くならない性能です。

ちなみにZEH基準の断熱性能ですが、30年間でかかるトータルコストが一番安くなるといわれるHEAT20G1グレードとほぼ同等です。



ちなみに等級5があれば、ある一定以上のソーラーパネルを導入することでZEH補助金をもらうことが可能です。

現在ではローコストメーカでも標準仕様で満たせている程度で、特別高性能ではありません。
だからこそ満たしておきたい基準です。

断熱等級6:HEAT20G2グレード

断熱等級6はHEAT20G2グレードのUA値となっています。

住生活産業総合情報ウェブマガジンより抜粋

一般的な戸建てと比べるとなかなか高性能であり、24時間全館空調するなら満たしておきたいですね。

断熱性能を売りにしているメーカであれば、このレベル以上を標準とされているメーカも存在します。
そうでないメーカで達成する場合は少し工夫が必要になるでしょう。
(窓の性能や断熱材の厚みアップなど)

現状では、30年間でのトータルコストでは等級5のほうが有利とされていますが、断熱材や電気代の価格次第では将来的に逆転することもあるかもしれません。

個人的にはコストと性能のバランス的にお勧めしたい基準です。

断熱等級7:HEAT20G3グレード

断熱等級7はHEAT20G3グレードのUA値となっています。

住生活産業総合情報ウェブマガジンより抜粋

今までの最高基準であった等級4とは比べ物にならないくらい高性能であり、設計が良ければパッシブハウスの認定が取れるほどです。

30年間でのトータルコスト的には正直なところ割高です。
温熱を重視する設計士の方々でもちょっとこの基準は高すぎるかも?と述べるほどです。

今までお飾りの最高等級だった4と違い、最高等級と呼ぶにふさわしいぐらいの基準になったと思います。

満たすためには付加断熱やトリプルガラス窓の採用などが必要になり、標準でこの基準を満たせるハウスメーカは一条工務店ぐらいかと思います。

予算に余裕があり、より優れた快適性を求める人向けですね。
自動車でいえばスポーツカーのような存在で、嗜好品の領域だと思います。

断熱等級追加の影響は?

等級が追加されたことで等級4は最高ではなくなったため、多くのメーカで「断熱性能は標準で最高等級」という謳い文句はなくなるかもしれませんね。
(6, 7の正式な追加はまだ先の話ですが)

その代わり「省エネ性能の説明義務化に適合した(これでも等級4ですよ)」みたいな売り方をするかもしれません。

まあそういったフレーズを使われても「断熱等級は標準でいくつですか?」って聞けばいいだけですが。

施主側としては高断熱の家を選びやすくなったといえますね。

等級4ぎりぎりの仕様でやっていたローコスト系のメーカや、断熱性能を確保しにくい鉄骨メーカには逆風といえるかもしれません。

大手あたりは対応商品を出してくる可能性はありますね。

積水ハウスは早速等級5をアピールしています。

https://www.sekisuihouse.co.jp/company/topics/library/2022/20220225/20220225.pdf

もともと積水ハウスはZEH対応しているので仕様自体は変わってないようですけどね。
他の大手メーカも大体そんな感じです。

ただ6,7となると少し話が変わってきそうです。

6は大手だと住友林業、三井ホーム、ミサワホームの木造が対応していたかと思いますが、他の大手もこれくらいは対応商品を出してくるかと思います。
鉄骨メーカはこの時点でちょっと対応が難しいかもしれませんね。

7はどのメーカでも厳しいかもしれません。
私の推測(妄想)ですが、商品は用意しておくけど積極的には勧めないって方針になるような気がします。
元々高断熱を売りにしていた一条のようなメーカはアピールがしやすくなるでしょうね。

ただ、等級7は前述の通りトータルコスト的には割高感があり嗜好品といった領域ですのでその点に留意して選んでください。(電気代や建材のコスト次第ではありますが)

個人的にはZEHで十分快適といっていたメーカが売り方を変えるのかが気になるところです。

終わりに

以上で断熱等級5,6,7の終わります。

まとめるとこんな感じです。

等級5:これから家を建てるなら満たしておきたい断熱性能
等級6:全館空調をするなら満たして起きたい断熱性能。個人的にお勧め。
等級7:最高等級にふさわしい断熱性能。嗜好品レベル。

等級追加にあたって色々もめたようですが、個人的には現状に合わせて等級4以上の基準が作られたことで施主がより高断熱な家を選びやすくなったので好ましいことだと思います。

この等級を追加するにあたり「目指すべき水準としては高すぎる」といった声があったようですが、その後に「(等級は)住まい手に向けた提案であり、作り手のやり易さのための水準ではない」という反論があったようです。

大変にありがたいことです。

等級4が最高のままでは、施主側は少し頑張らないと付加断熱をするような高断熱の家にはなかなか届かないですからね。

個人的にはこの等級の追加がいい方向に転がると確信しています。

まだ6,7は正式に追加されていないですが、された後の状況が楽しみですね。

では。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

2020年2月からアイ工務店と一緒に建てたマイホームに居住中。 家の中が寒いのがいやだというところから家づくりを開始した結果、高断熱高気密という言葉に出会う。 以降、いろいろ調べているうちに高断熱高気密の沼にはまり、使者を自称するようになる。