相変わらず前回から随分間が空きましたが、ヘーベルハウスの家を建てる手順シリーズの続きです。
前回まではこちら。
今回はヘーベルハウスで家を建てるぞ!と決め、実際に契約するにあたってのお話と注意点についてとなります。
Contents
ヘーベルハウスと建築請負契約を締結する
前回までの記事では、ヘーベルハウスとのファーストコンタクトから、契約前の提案までのお話を書いてきました。これまでの内容を踏まえて、契約までのステップを簡単にまとめると以下の通りです。
- 土地に対する間取り提案を受ける
- 間取りをある程度完成させる(主に面積確定)
- 上記間取りに対する見積提示
- 並行して住宅ローン仮審査実施
- 住宅ローン仮審査結果OKで、間取りの合意が取れれば正式に契約
契約に係る費用
提案費用
ヘーベルハウスではこの請負契約締結までは、費用を取られることはありません。有名な所だと、一条工務店さんなんかは契約前の提案を受ける時点で100万円の仮契約を締結する必要があるようです。
また、住友林業さんは提案着手として5万円を支払う必要があります(この5万円を支払うと、土地を持っている場合には地盤調査も実施してくれるので、地盤改良費用の精緻な見積が出てくるメリットがあります)。
一部工務店さんや設計事務所での建築の場合も、提案を受けるための契約を先に行い契約費用が掛かるケースもあります。
どちらが良いとかそういう話を今回するつもりはないので軽く触れる程度ですが、今のところ(2021年現在)ヘーベルハウスは提案無料という方針ではあるようです。
着手金
手付金とも呼ばれますが、住宅に限らず高額の契約の際には手付金を支払うケースは多いです(自動車なんかもそうですね)。なんでそんなものが必要なのか?と思う人もいるかもしれませんが、非常に簡単な言い方をすると「手付金は契約の人質」です。
巷にはいろんな契約が溢れていますが、小なるものは携帯電話や電気ガス水道なんかの契約、大いなるものは不動産売買などの契約などです。アニメの世界では魔法少女になる契約なんかもありますね。
契約というのは、「複数の者の合意によって当事者間に法律上の権利義務を発生させる制度であり、合意のうち、法的な拘束力を持つことを期待して行われるもの」とされています。そう、実は法的な拘束力を持つんですね。
契約には自己都合の解約の権利も勿論あるけど、契約には責任は伴うものだからそれ相応の責任(解約費用)を予め担保してもらうという意味合いもあります。解約については後で書きます。
着手金はいくら?
一般的には、建築請負契約の着手金は契約価格の5~10%程度に設定するとされています。とはいえ、最近は住宅ローンの低金利化というのもあり諸費用含めたフルローンというのも割と一般的になりつつあるので、この着手金もケースバイケースの費用で済む場合も多いです。
実際にヘーベルハウスで建てた施主のブログなどを見ると、着手金50万円で済んだという人も見かけますし、我が家は100万円で済みました。まあ、我が家は提携の住宅ローンが通って土地もつなぎ融資で既に購入済みだったのもあり、今更逃げられないだろうということで100万円で済ませられたというのもあるのですがね。
ただ、実は住宅建築のお金の支払い方というのは伝統的に以下の様な払い方が多いです。
支払い時期 | 金額目安 |
---|---|
工事請負契約時 | 工事費用の約10% |
着工時 | 工事費用の約30% |
上棟時 | 工事費用の約30% |
引き渡し前 | 工事費用の約30% |
住宅ローンの中には上記の支払い方に対応したつなぎ融資をしてくれるところもあります。
何故そんな支払い方をするのかというと、完成時に支払いという方法だと、建築会社としては実際に仕事に着手してから完成までの半年近くは一切キャッシュが入ってこないことになります。その間の材料費や職人さんの人件費は全部手弁当となるので、それだけのキャッシュを会社が持っている必要があります。
しかし、資本規模の小さな会社だとそこまでキャッシュに余裕がないところも多い訳で、そのため上記のように細かく支払タイミングが分かれているという方法が採られています。
大手のハウスメーカーなどは資本力はあるので、上記の分割支払い方法を取らずに引き渡し時に一括で支払いという方法をとることも可能です。
特に提携住宅ローンや、ハウスメーカーの営業が紹介してくれた住宅ローンなどを使う場合には、引き渡し時に一括という方法を取ることができます。
※余談ですが、私の友人は有名サイトの紹介サービスから契約した設計事務所と請負契約後に着工金を支払ったら、工事が始まらずに計画倒産されたことがあります。そのエピソードは何かの機会があればどこかで書くかも…
着手金は現金?振込?
一昔前は、現金で車を購入する場合も営業担当者がわざわざ家まで来て、現金を渡してその場で数えて領収書を発行して…という契約形態は多かったです。しかし、現在は事前に銀行振り込みでの支払いが求められるケースが多いです。
何故か不動産売買の場合は、取引場所(自宅ではなく不動産会社の店舗等)まで現金を持参する文化が根強いですが、今は営業個人と現金のやり取りをすることを禁じている会社は多いです。
ヘーベルハウスでも、契約着手金(手付金)は事前に振り込みでの支払いが必要です。
これは実際にあったお話ですが、自宅で契約しお金を渡したら、営業がその現金を持ってとんずらしちゃったという事件が割とあったらしく、車のディーラーなどでも今は現金でのやり取りは店舗に限るとしているところは多いです。
手付金以外の費用
意外と見落としがちなのが手付金の印紙代です。契約書一通につき印紙代が1万円かかります。ヘーベルハウス側の一通と自分用の一通の内、自分用の1万円の印紙代を用意する必要があります。
契約手続き
ヘーベルハウスで建築請負契約を行うと、ヘーベルハウスの契約関連書類をまとめるバインダーが提供されます。ヘーベルハウス(旭化成ホームズ)のコーポレートカラーはブルーなのですが、何故かバインダーはこの色です。
何故この色なのか?と尋ねてみたのですが、不明とのことでした。
実際の契約の流れとしては、一級建築士が同席し、建築士番号を提示されたうえで重要事項説明が行われます。
こちらがヘーベルハウスとの建築請負契約書です。
数枚綴りになっているこの契約書には、建設業法 第19条に沿った14項目の他に、建物の仕様や図面なども記載されています。
こちらに署名と実印を捺印して、契約金を払い込むと建築請負契約が成立します。
契約プランの確認
建築請負契約締結時に間取りが確定しているのが理想です。特に契約後に面積の変更が発生すると、その後の着工前の変更契約時に発生する金額変更に与える影響は非常に大きいです。
営業担当者によっては、「契約後に変更はいくらでもできますから」という甘い囁きで契約を急かしてくるケースは多いと聞きます。
しかし、たとえ契約時期が遅れたとしても間取りを極力完成形にしてから契約をすることを強くお勧めします。
ヘーベルハウスは契約時に、住宅設備(浴室・キッチン・トイレ等)やインテリア(壁紙や床材等)の標準仕様で契約を締結します。
インテリアに関する部分はこの請負契約を締結してからではないと打ち合わせで詳細を詰めるという段階に進めることができません。
従って、標準仕様をベースに見積もりが作成されます。
ヘーベルハウスの標準仕様はグレードがあり、Hシリーズ、Fシリーズ、Sシリーズとグレードが分かれており、値段の高い順にH、F、Sと並んでいます。
設備にそれなりに拘る予定であればHシリーズで見積もりを作ってもらうことがお勧めです。
見積書の確認
ヘーベルハウスとの最初の建築請負契約を締結するにあたり、契約プランの見積書が提示されます。この見積書の内容は比較的細かい見積もりが出てきます。
先に述べた標準仕様に沿って、H、F、Sのグレードの中身もこの見積の明細に細かく記載があります。
例えば、リクシルキッチンのオプションとして人気のセラミック天板等は標準仕様に入っていないのですが、最初から採用することを決めているならば、この見積に予め含めておいてもらうことも可能です。
この最初の見積もりから、ほぼ確実に金額はブレる。しかも上方修正という形でブレると思っておいた方が良いです。
いかにこのブレ幅を小さくできるかというのは比較的大事なことなのですが、今後控えている住宅設備決定、インテリア決定、照明計画、外構計画が固まってこないことには、どうしても仕方がない部分ではあります。
であるからこそ、できれば最初から高額オプション系は見積もりに入れ込んでおくことが今後の金額のブレ幅を少なくする上で大事な要素となります。
解約について
契約には、解約する権利が勿論あります。実際に契約を締結した後に、やはり解約したいというケースは出てくる場合も勿論あると思います。
誰もが気にするのは、手付金は解約時に戻ってくるのか?という点かと思います。
この辺は高度に法的な要素を含む話になるので、ここで細かいお話をすることは避けておきますが…
権利には必ず責任がセットで伴うものです。
これはヘーベルハウスとの契約に限ったお話ではなく、ハウスメーカーでも工務店でも設計事務所でも同じことが言えるのですが、業者側の明らかな契約不履行ないし、業者側からの申し出での契約の解約もしくは解除でもない限り、手付金を全額取り戻すことは基本的に難しいと思っておいた方が良いです。
弁護士を介入させて取り戻すこともできるケースも多くありますが、弁護士もタダではないので弁護士費用を考えると全額取り戻すというのはハードルの高いお話になります。
であるからこそ、契約を締結する前にきちんとその契約に納得ができるのか?納得のいかないことはとことん納得ができるまで説明をもとめたり、書面での確認を行うなどの自分の権利を守るためにできることを最大限やるべきです。
そういった意味では、非常に高額な金額の契約となるのですから、勢いで締結する前にしっかりと考えるというプロセスを決して怠らないことを強くお勧めします。
契約後の流れ
ヘーベルハウスで家を建てると決断し、実際に建築請負契約を締結すると、そこから次のステップについて説明されます。どんな説明がされるのか?についてここでは触れていきます。
工事行程
まず最初の説明されるのは、家はいつ着工し、いつ引き渡されるのか?という点です。実は契約書には引き渡し日がきちんと明記されます。
とはいえ、諸々仕様を固めないと実際の工事着工はできないので、この仕様固めの打ち合わせが予定よりも伸びたりすると、引き渡し日なども伸びてしまいます。
引き渡し日を後ろにずらせない何らかの事情がある場合は、その引き渡し日を死守できる様に契約締結の時点で、しっかりと引き渡し日の期日が守れない場合の対応などについても確認しておくことが大事です。
この次の記事でもう少し具体的なお話を書こうと思いますが、実際の着工までに済ませなければならない打ち合わせや、着工予定日などのスケジュール表が提示されますので、それベースで今後の打ち合わせ計画などのお話をされます。
営業担当のスケジュールを押さえるという意味でも大事な打ち合わせなので、しっかりご自身の予定なども押さえてから臨まれることを強くお勧めします。
地鎮祭の実施有無確認
実際の着工が開始される前に、敷地のどの部分に建物が建つのか?というのを記す「地縄張り」という作業を実施します。この地縄張りに合わせて、一つの決断が必要になります。
それは、地鎮祭を実施するか否か。
地鎮祭は工事業者であるヘーベルハウスも参加する行事となるので、この実施の有無はきちんと知らせる必要があります。
ヘーベリアンネットが使えるようになる!
大したお話ではないのですが、ヘーベルハウスにはオーナー専用サイトである「ヘーベリアンネット」というものが存在します。これは大手ハウスメーカー各社用意していると思うので、特段珍しいものではないのですが、契約締結をするとこのヘーベリアンネットが使えるようになります。
また、住宅設備をチョイスできるシミュレーションサイトも利用できるようになります。
↓こんなサイトで、キッチンなどの色や設備を選んでオプション価格などを確認できたりします。
今回のまとめ
今回はヘーベルハウスとの建築請負契約締結に関するアレコレを取り上げました。一番大事なことは、少しでも不明点や納得のいかない点があるならば、決して判を押さずに納得いくまで話し合ってから契約を締結するかどうかを決めることが大事です。
契約をするよりも、契約を解約する方が倍以上の労力が必要です。結婚よりも離婚の方が大変なのと一緒ですね。
今回の内容が、少しでも参考になれば幸いです。
次回は、着工までの打ち合わせの流れについて扱いたいと思っています。8月中に書けるかな…