ヘーベルハウスの家を建てる手順シリーズも第三弾となります。
過去の記事はこちら。
前回までは、主に土地の購入からスタートする場合のお話を書きました。
注文住宅建築において、土地を持っているか持っていないかで難易度が変わるというお話をしました。
今回は土地決定からハウスメーカーとの契約までの行程について書いていきます。
Contents
土地決定から契約まで
家を建てる土地が決まらないと、家のプランは立たないし見積もりもできないというお話は前回しました。実際に土地決定から契約までの間にどんなステップを踏むのか?
住宅ローンで家を建てるという一般的な条件をベースに、ヘーベルハウスで契約をするまでの行程を図にしました。
契約前提はあくまで住宅ローン仮審査通過
上記の図でも示していますが、ヘーベルハウスとの建築請負契約締結の前提条件は原則「住宅ローン仮審査通過」となります。常識的に考えれば、数千万の高額な契約となるわけですから、支払い原資が定まっていないと契約もへったくれもないのはわかると思いますが、これは大前提となります。
住宅ローンについてのあれこれは、それだけで1シリーズ書き上げられそうなくらい色々あるので、今回は深く触れないですが…
家を建てる費用というのはざっくりいうと現金+住宅ローンで総予算が決まります。
住宅ローンの予算をいくらにするのか?が決まらないと、住宅ローン仮審査に通すこともできないわけですが、ヘーベルハウスに限らずハウスメーカーとの契約においてこの予算決定が真っ先に出てくる重要なポイントです。
この点を踏まえて次のお話につながってきます。
ハウスメーカーで土地つなぎ融資を受ける最大のデメリット
前回の記事では、契約諸々の手間が一番楽なのは「ハウスメーカー提携の住宅ローンで、土地と建物の両方の住宅ローンを組んでしまうのが楽」と書きました。これは紛れもない事実で、住宅ローンという厄介な事務手続き諸々をハウスメーカーの営業マンが手取り足取り教えてくれるし、すべてをおぜん立てしてくれるので楽なのは確かなのです。
しかし、前回書かなかった最大のデメリットがこの建築請負契約と絡んで出てきます。
上記のチャート図は、ハウスメーカー経由で土地を探し、ハウスメーカーの提携住宅ローンで土地も建物も一本の住宅ローンを組む場合の行程になります。
賢明な方はすぐに気づかれたかもしれません。
土地の買い付け申し込みから住宅ローン予算決定までに時間がない
土地は買い付け申し込みの先着順が原則ですが、競合がいる場合には買い付け申し込み後に実際に売買契約までそこまで時間を掛けられないケースは多いです。特に都会の人気の土地などはぐずぐずしていると、売り主の意向で即断即決できる買い主に先に売ってしまうというケースも多々あります。
つまりどういうことかというのを箇条書きでまとめました。
土地の買い付け申し込み実施後に急いでやること
- 住宅ローンの仮審査を通す必要があるので、土地と建物の費用を合わせた金額での仮審査が必要
- 仮審査を通すために、土地の契約までにハウスメーカーとの契約金額を決定しなければならない
- 短期間でハウスメーカーとの細かい仕様など決められるはずもないので、割とガバガバな仕様でハウスメーカーと契約せざるを得なくなるパターンは多い
既に土地を持っている人、土地の購入はハウスメーカーとは別口に個別に進めている人の場合、ハウスメーカーとの請負契約前に時間をかけてじっくりと仕様を見定めて契約することができる点で非常に有利と言えるかもしれません。
ヘーベルハウスと建築請負契約を締結する際に注意すべきこと
以上を踏まえて、人によってはヘーベルハウスとの請負契約まであまり検討期間を取れない人もいるでしょう。私自身も、土地を探し始めて1週間で見つかってしまったので、そこからヘーベルハウスとの請負契約まで1カ月も時間がありませんでした。
見積の内訳で気を付けるべき点
ヘーベルハウスの見積もりは、最初の見積もりから内訳の明細が出てきます。詳しくは以下の記事を見てみてくださいね。
コダテル
ハウスメーカーの見積は本当にどんぶり勘定なのか?~その①
先日、住友林業の見積明細が不明瞭であるという記事が巷をにぎわせました。この記事を読んで、自分が検討しているハウスメーカーは大丈夫なんだろうか?という疑問を抱いた方も多いかもしれません。また、大手ハウスメーカーはどんぶり勘定なのか?という懸念を抱かれた方も多いかもしれません。マスコミというのはセンセーショナルな表現を使い、自分たちの価値観を普遍的な価値観である様に、さも中立の目線であるかのように演出して情報を伝えるのは常套手段です。たまたま、家造りをした施主たちのつながりというコミュニティに関...
実例として我が家の見積明細内訳です。
この内訳はざっくりしているので、次のページから更に細かい内訳が出ているのは、リンクした記事を参照してください。
最初の契約時に一番気にして見るべき箇所をピックアップします。
「その他特殊工事明細書」というのがあるのですが、この部分は預り金扱いになっています。
具体的には…
- パイル・地盤改良費 ¥2,000,000
- 外構工事 ¥1,064,000
- 照明工事 ¥100,000
- 窓掛工事 ¥200,000
パイル・地盤改良費
ヘーベルハウスは鉄骨住宅ですので、木造住宅と比較するとどうしても重量があります。関東なんかはその土地の歴史的に、割と軟弱地盤も多い(元海だったり、河川の氾濫域だったり)ので、この地盤改良費というのが比較的高くつきます。
実は私も契約前に、購入する土地の歴史を市立図書館などで調べまして、かつては田んぼで過去に何度も多摩川の氾濫にも遭っていたことが分かっていました。
そのため、地盤改良は必須である認識を持っていたのですが、実際に地盤調査をしてみないとその土地がどうなっているかはわかりません。
そう、土地は基本的に売買契約後しか地盤調査等はできないので、土地と一緒にヘーベルハウスの契約をする場合、契約時には地盤改良費用がまだわかりません。
幸い我が家は、近隣に既に建っているヘーベルハウスが何棟かありまして、それらの家の過去の地盤調査結果と改良工事内容から大まかな費用は予測がついたので足は出なかったのですが、担当がイマイチだと根拠のない金額を乗せて契約し、地盤調査後におかわりという事態になるので、地盤改良費の根拠はしっかり確認しましょう。
ちなみに我が家は200万予算計上していて、実際には150万くらいで済んだので、その分を他の部分に当てられました。
地盤改良について興味がある方は、地盤の専門家が情報発信をしているので覗いてみてください。
外構工事
次にヘーベルハウスに限りませんが、多くのハウスメーカーでは外構費用としてとりあえず100万を計上して契約を進めるケースが多いです。しかし、非常に多くのケースで共通して言えることは、この外構費用100万円に何の根拠もないです。
裏話というほどではないのですが、多くのハウスメーカーでは家本体工事と外構工事は別物でして、営業としては外構に費用を取られるよりも家本体に費用をかけてくれた方が売り上げになるケースが多いです。
従って、外構はとりあえず100万円という見積もりは多いです。
余程の狭小地で建蔽率も高い家でもない限り、100万円じゃ殆ど何もできないと思っておいた方が良いです。
建築を学んだ身としては、ランドスケープも含めての建築が当然であるべきと思っているので、ハウスメーカーのとりあえず家本体、外構はまた予算次第みたいなやり方は非常によくないと思います。
現に我が家も狭い土地で最低限の外構なのに100万円で収まりませんでした。
照明工事・窓掛工事
照明はこだわるか拘らないかでかなり金額のブレが大きいです。引っ掛けシーリングにして本体は自分で買って後から付けるなどすると費用を抑えることができますが、ダウンライトやブラケット照明などは取付工事が発生するので、施主支給というのもなかなか難しいケースは多いです。この辺、どこまで施主支給が可能か?を事前に確認してみた方が良いです。
窓掛と言われてもぱっと出てきませんが、要はカーテンやブラウィンドウ等の事です。
これもハウスメーカー経由で購入するか、レールだけつけてもらってカーテンなどは自分で買うかによって費用にばらつきがあります。
この辺も自分がどうしたいという具体的な考えがあるなら、それを実現するためにどれくらいの費用を見込んでおくのかよいかを事前にすり合わせて、費用に落とし込めば後のギャップは少しでも埋まるかもしれません。
まとめ
今回はヘーベルハウスと建築請負契約を結ぶまでの事を扱いました。注意事項を箇条書きで簡単にまとめます。
- ヘーベルハウス提携ローンの土地つなぎ融資を使う場合、土地の契約までに住宅ローンの金額を決める必要がある
- 住宅ローンの金額を決めるにあたって家の仕様をある程度固める必要があるが、時間がない
- 土地を決めてから、じっくり家のプランを練ってから契約したい人は土地つなぎ融資は使わない方が良いかも
- ヘーベルハウスの最初の契約時に金額が後々ブレやすいのは、地盤改良費・外構費・照明窓掛費用
従って、契約までにある程度形が見えるくらいまでには仕様を固めることが大事です。
私は常々言っているのですが、注文住宅建築は決して買い物ではありません。
買い物は既にある商品を売買契約で購入するものですが、注文住宅は何から何まで自分で決めて仕様を固めて、その仕様に沿って作ってもらうプロジェクトです。
注文住宅を考えている人は、家造りそれ自体がプロジェクトであり、自分自身はプロジェクトマネージャーとして意思決定しプロジェクトを成功に導く必要があります。
土地の契約一つとっても、住宅ローンとの絡み等でやり方が違えば検討期間も大きく変わってきます。
注文住宅を検討している方は、この点をしっかり考えて計画を立てたうえで、請負契約を結んでください。
失敗の多くは、自分たちの家をどうするかについての方向性が定まらぬまま契約を急いでしまったケースに見られます。
住宅営業もとにかく契約を急がせてくるものですから、「後から変えられますから」という言葉を真に受けて、簡単に判を押すことのないよう、しっかりと自分自身の住まいづくりプロジェクトの責任者として責任を持って考えるように意識していきましょう。
今回は以上です。