ヘーベルハウスの実際の施工について、今回は木工事編となります。
なお、筆者が建てた2020年時点(1911仕様)時点のお話なので、細かい点で最新のヘーベルハウスと差異があるであろう点はご容赦ください。
前回までは…
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木工事
木工事と呼ばれる工程は、家の内装を作っていく工程となります。この工程を経て、やっと室内の形が出来上がってきます。
順序立てて工程を説明します。
1階床工事
2階と3階の床にはSL工事でレベラーを打ってモルタルの床を作りましたが、1階については床へーベル版の上に60mmのスタイロフォームを敷き詰めます。スタイロフォームを敷いたあとは、その上にベニア合板を敷き詰めます。
窓枠設置
床への合板敷きが完了したら、窓枠を設置していきます。三方クロス巻き込みじゃない窓は、化粧板の枠をはめ込みます。クロス巻き込みの枠は合板の枠をはめ込みます。
間柱施工
工業化住宅の権化でもあるヘーベルハウスなだけあって、間柱もパーツ化されています。それを現地で決められたパーツを組み付けていくことになります。
一般的な木造住宅と違い、ヘーベルハウスは構造が違うため、単純比較はできないのですが、ヘーベルハウスの間柱は純粋に内壁(石膏ボード)を固定するための構造となります。
胴縁は外壁となるへーベル版に(断熱材のネオマフォームの板を貫通し)直接打ち込まれており、その胴縁に金具で固定されます。
壁の下地補強オプションを入れている箇所については、以下の写真のようにベニヤ板がはめ込まれます。
パーツ化された間柱パーツの枠にピッタリはまるサイズのベニヤ板が成形された状態で納品されるので、必要な個所に金物で固定していきます。
天井軽天施工
壁の間柱パーツの施工が一通り終わると、天井の下地となる軽天の施工となります。まずは、外周壁側に軽天の受けとなるレールを施工していきます。
軽天の格子は、梁に対して水平に、桁に対して垂直に組まれていきます。
桁と交差する部分には金物で桁の鉄骨と固定していきます。
また、床には室内内壁の位置決めスミ入れも並行して実施されます。
天井への断熱材施工
軽天が組み終わると、今度は天井に断熱材を施工します。天井にはグラスウールを施工します。
途中階の天井にはロックウールが施工されます。
また、階を跨ぐ天井には気流止めフィルムも施工されます。
その後、まず天井に石膏ボードを施工します。
間仕切り壁施工
ヘーベルハウスの室内間仕切りは、メタルスタッドと呼ばれる軽量鉄骨の柱を使います。事前に間仕切り位置の床と天井に墨入れを行い、そこにメタルスタッドを配置するためのベース台座を打ち付けていきます。
間仕切り壁の中には配管やケーブルが通るので、それらを通す穴をあらかじめ位置決めしてドリルで穴を空けておきます。
床と天井の台座ができたら、設計通りの間隔でメタルスタッドの柱を立てて行きます。
下地補強オプションを入れている壁は、柱と柱の間にベニヤがはめられます。
トイレの壁など、一部の壁には防音仕様のオプションを付けることが可能で、防音オプションを付けるとゴムの吸音マットが壁に取り付けられます。
お金さえ出せば、すべての壁にこの吸音マットをつけることが可能です。
フローリング施工
壁が立ったら次はフローリング施工です。フローリングを施工する前に、床に下地材となるベニヤ板を敷き詰めます。
この下地ベニヤ板には吸音マットが貼り付けられており、床鳴りを防ぐ様にできています。
この下地のベニヤ板は、ピッタリとくっつけることはしません。
たまにこの隙間を見て「施工不良だ!」と怒る施主さんもいるそうです。これにはちゃんと訳があり、木というのはベニヤの様な合板であっても膨張と伸縮をする素材です。
また、鉄骨住宅の場合は地震の際に家自体が”しなる”ことで、地震エネルギーをやり過ごす特性があります。こういった部材を密着させると、地震でしなったときに板と板がお互いにぶつかり合い(ヒマラヤ山脈の様に…)隆起してしまう恐れがあるため、敢えて隙間を空けるんですね。
下地ベニヤ版を敷いたら、いよいよフローリング材を敷き詰めていきます。
フローリング材の裏側にも吸音マットが付いています。
裏にボンドを塗って一枚一枚敷き詰めていきます。
壁石膏ボード施工
天井石膏ボードを貼って、壁を作って、床を作ったら最後に壁の石膏ボードを貼ります。壁石膏ボードを貼ったら、建具(室内扉)の枠も施工していきます。
建具の枠が取り付けられたら、壁と床の接地面に巾木を施工していきます。
これはステープラーのお化けみたいな機械で打ち付けていきます。
階段のフローリング施工
ヘーベルハウスの階段は鉄骨階段なので、そのままだとこんな感じの鋼鉄の階段です。この階段にもフローリングを貼り付けていきます。
まずは、蹴上部分のフローリングを貼り付けます。これは木工ボンドで貼り付けていきます。
その後、踏み面のフローリングを貼り付けます。
この踏み面のフローリングも、裏側には吸音マットが付いています。
最後に、階段用の巾木を取り付けて完成です。
建具取付
木工時の最後は、建具の取り付けです。以上、駆け足となりましたが木工事は以上となります。
紹介はあっという間ですが、家の広さにもよりますがこの工程で約1ヶ月かかります。
次回はバス周りやキッチン周りの住設や、玄関床タイル等の施工の紹介となります。