エアコンの選定・設置時に気をつけたいあれこれ

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クロセの記事を読むのが初めての方は、まずこちらの記事をお読みください。

ども、クロセです。

前回の記事ではエアコンの配置は絶対に間取りと一緒に決めましょうという話をしました。

今回は設置するエアコンの選定・配置について書いていきます。

適切な容量のエアコンが適切に配置がされているかで、部屋の快適性やエアコンの効率に影響します。

本記事ではそれらについて気をつけたらいいと思うポイントを色々挙げてみようと思います。

エアコンの容量

部屋の大きさに合わせてエアコンの容量を選定する必要がありますが、大体の人は部屋の広さ、例えば20畳の部屋には20畳用のエアコンを購入されているのではないでしょうか。

結論から言うと過剰です。

実はこの〇〇畳用というのは、断熱材が入っていない家を基準に考えられています。
つまり、断熱材が入っている現代の家では、表示されている畳数よりも広い範囲を空調できます。

ZEHを満たすぐらいの断熱性があれば、理論上では表示されている畳数の3~4倍程度の広さは空調できますし、より高い断熱性の家であれば更に広い範囲を空調できます。

上記の通りであればZEH水準の断熱性があれば、6畳用のエアコンで20畳ぐらいの部屋を空調することが可能です。

現在の家は標準でZEH水準の断熱性を満たしていることが多く、個室のエアコンは6畳用エアコンだけで事足りることがわかります。

エアコンは容量が大きいほど価格も上がるため、理由がなければ6畳用エアコン推奨です。

6畳以上のエアコンが必要なシチュエーションとしては、エアコン1台で家中を空調したい場合でしょうか。

その場合も10畳用、14畳用のエアコンを購入するのがコスパがいいようです。

エアコンの容量に関する話をもう少し詳しく知りたい場合は、以下の動画を参照することをお勧めします。



動画を見るのが面倒という人は、とりあえず6畳用、10畳用、14畳用エアコンのコスパが良いと覚えておいてください。

 

また、エアコンの効率は、上限に対してどれくらい出力させるかで変わります。

以下は日本エネルギーパス協会が示しているエアコンの出力と効率の関係を示したグラフです。


エアコンの出力と効率の関係 by 日本エネルギー協会

横軸がエアコンの上限に対して何%ぐらいの負荷で稼働させているかを示しています。
縦軸は消費電力に対する空調の効率を示しています。

このグラフでは、エアコンは上限に対して7~8割くらいの負荷で稼働させることが効率よく、負荷が5割を切ったあたりで極端に効率が落ちることが示されています。

過剰な容量のエアコンを使うべきではないということですね。
そもそも容量が大きいエアコンはかなり価格が上がるので二重にお金がかかります。

ただし、ぎりぎりを狙いすぎて容量が足りないのも良くないので、ほどほどに余裕がある容量を選ぶといいと思います。

1点気をつけたいのが、6畳用エアコンで20畳のリビングが空調できるというのは、熱エネルギー的な意味です。

均一に空調するためにはサーキュレータや扇風機で空気を回さないといけない可能性があることには留意してください。

エアコンの配置

前回の記事でも解説しましたが、間取りを決める際には必ずエアコン配置も考えておいてください。

後から決めてしまうと最適な位置には取り付けられないということがあり得るからです。

配置を決める際は以下のことに意識するといいと思います。

①座る場所にエアコンの風が直接当たらない場所
②部屋の形状とエアコンの向きが適切であること

①は書いてある通りです。
エアコンの風が直接当たる位置は冷房だと体が冷えますし、暖房だと乾燥を感じやすくなります。
長時間座る場所に風が直接当たることは避けたほうがいいでしょう。

②は以下の図を見てください。


方向①は部屋の形に対してエアコンの風がまっすぐ行きやすく効率がいいです。
方向②は部屋の形とエアコンの方向が適切ではなく、部屋全体に風がいきわたりにくいです。

断熱性が高ければ方向②でもあるていどは空調されますが、①のように部屋の形に対してエアコンの方向が素直な方が効率は良くなります。

しかし、間取りを決めた後にエアコンの位置を考えても、壁がなかったり室外機が設置できないといった理由で適切な配置ができない可能性があります。

こういったことがないように、繰り返しになりますが間取りを決める際はエアコンの位置も必ず決めておきましょう。

室外機に注意

先ほどのエアコン配置にも関係する話ですが、室外機の配置にも気を付けておきましょう。

室外機というのは下の写真のような機械です。


この機械を家の周りのどこかに設置する必要があるため、外観を気にする人は外から見えにくい位置に配置できるように注意しておきましょう。

エアコンは室内にある本体と、この室外機をつなげることで使用可能になるわけですが、距離が近いほうが効率がいいですし、工事費も安く済みます。

また、室外機は冷房時に放熱、暖房時には放冷をしますが、適度にスペースを確保する必要があります。

参考までに、パナソニックのHPでは以下のように記載されていました。

エアコン】エアコン室外機の設置条件を、教えてください。 - エアコン - Panasonic
これよりスペースが狭いと効率が悪くなります。

エアコンの配置を考えるときには「室外機で外観を損なうことがないか」「室外機との距離を最短にできるか」「室外機の周りに十分なスペースを確保できるか」にも注意しましょう。

再熱除湿の有無

一部の機種には「再熱除湿」という機能が付いています。

これは室温を下げずに除湿をする機能で、低温高湿になりやすい梅雨の時期に効果を発揮する機能です。

一般的なエアコンにも除湿機能はついていますが、最近のエアコンの除湿機能は「弱冷房除湿」と呼ばれるもので室温が低下していきます。

高気密高断熱の部屋では弱冷房でも部屋の室温が下がりやすいため、再熱除湿機能があると便利です。

この機能がついている機種はやや値段が高くなりますが、家の中の開けた場所にこの機能が付いたエアコンが1台あれば、梅雨でも30~35坪程度なら家中の除湿をすることも可能なため購入しておきたいところです。

再熱除湿機能が付いたエアコンは日立、富士通、三菱からのみ出ていますが、再熱除湿機能が目的の場合は、温度と湿度を設定できる日立のエアコンが個人的におすすめです。

以下URLの私の個人ブログにも再熱除湿機能について書きましたので、気になった方はご参照ください。

https://klosemyhome.com/reheat-dehumidification/

第3種換気の給気口付近や窓の上に設置する

第3種換気の給気口からは外気がそのまま入るため、夏は暑く冬は冷たい空気が不快です。

また窓付近も断熱性が低く外気の影響が受けやすい箇所です。

それらの場所の上にエアコンを設置することで、その影響を緩和できます。

全ての給気口と窓の上にエアコンを設置することは難しいですが、リビング付近の快適性への影響が大きそうな給気口や掃き出し窓の上に設置できるか検討しておくといいでしょう。

複数配置の利点

20畳あるような広い部屋でも6畳用のエアコン1つで空調することはできますが、あえて複数台設置することで以下のメリットがあります。

①各エアコンの風力を弱くできる
②1つが壊れた場合にもう1つを動かせる

①ですが、1台のエアコンで広い範囲を空調しようとすると、サーキュレータが必要だったり、ある程度風力が強めになるかと思います。

しかし、エアコンの風が強いと空気が動き、直接体に当たっていなくても多少の不快感があります。

あえて複数稼働させると、それぞれの風力が弱くても空調できるようになり、快適性の向上につながります。

②は書いてある通りです。

エアコンが突然故障した場合でも修理が完了するまでもう1台で空調することができます。
1台の間は多少風力が高めの稼働になりますが、ないよりは断然マシです。

よほど広いLDKでない限りはエアコン1台でも十分に空調できますが、あえて複数台用意するのも悪くないと思います。

蛇足①:エアコン1台で家中を空調をすることについて

高高住宅を専門としている会社のHPをみると「エアコン1台で家中が快適に…」といったような謳い文句が書かれていることがあります。

細かい突っ込みを入れると、暖房の空気は上昇し、冷房の空気は下降するため、例えば2階建ての場合は1Fに暖房用のエアコン、2Fに冷房用のエアコンがそれぞれ必要なわけですが…

一定以上の断熱・気密が確保されていれば、どちらか片方のエアコンを稼働させておくだけで、家中を快適に空調することは可能です。

ただ、各部屋の扉を開けておかないと空調されません。
閉めた状態でも空調をさせるには、別途通り道を作る必要があります。

このことを考慮すると、各部屋にはエアコンを設置できるようにコンセントとスペースを確保しておき、必要になったら設置するのがおすすめです。
(必要なければつけなければOK)

逆に言えば、扉で部屋を区切る予定がないならずっとエアコン1台でも過ごせるでしょう。
(壊れたときように2台以上設置しておいてもいい気はしますが。)

蛇足②:全館空調システムについて

一般的な壁掛けエアコンではなく、業務用の大型なエアコンとダクトを使って家全体を空調するエアコンがあります。

有名なものだと三井ホームの「スマートブリーズ」、セキスイハイムの「快適エアリー」などでしょうか。

壁掛けエアコンでも間取りが複雑でなければ家中を快適にすることを可能ですが、全館空調システムは難しいことを考えなくても容易に家中を空調できます。

ただし、初期費用もメンテナンスコストもかなり高額なようです。

私は採用していませんが、実際にあるメーカに聞いたところ、初期費用だけでも200万位と聞きました。
(メーカごとに違いはあると思います)

お金に余裕があるなら採用してもいいと思いますが、贅沢品であることには留意してください。

また、万が一故障した場合は家中が空調できないという点にも気を付けてください。

終わりに

今回はエアコンの選定・配置について書いてみました。

色々気を付ける点を書いてみましたが、理想を言えば空調計画もしっかりしてくれる業者と家づくりをすべきというのが私の考えです。

正直、そこまできっちり考えてくれる業者はなかなかいないと思いますが、今はココナラのようなスキルマーケットもありますし、中にはボランティアで相談に乗ってくれる人も見かけます。

変に自分で考えるよりは、そういった人たちに相談をする方がいいと思います。

どうしても自分で考える必要がある場合は、改めて以下の点に気を付けてください。

①エアコンの〇〇畳数用というのは無暖房が基準
②座る時間が長い場所に直接風が当たらないようにする
③部屋の形に合わせて配置する
④室外機の位置も考慮する
⑤給気口や掃き出し窓の上につけることでそれらの影響を小さくできる

これだけ気を付けておけば、素人の配置でもそんなに効率の悪い配置にはならないと思います。

間取りを決める際には、ぜひエアコン配置もじっくり考えてみてください。

では。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

2020年2月からアイ工務店と一緒に建てたマイホームに居住中。 家の中が寒いのがいやだというところから家づくりを開始した結果、高断熱高気密という言葉に出会う。 以降、いろいろ調べているうちに高断熱高気密の沼にはまり、使者を自称するようになる。