クロセの記事を読むのが初めての方は、まずこちらの記事をお読みください。
ども、クロセです。
冬といえば乾燥の季節ですが、こんな話を聞いたことないですか?
「エアコンは乾燥するね」と。
CMでは乾燥しない暖房器具としてオイルヒータが宣伝されているのを見かけました。
結論から言いますと、エアコンでもオイルヒータでも床暖房でも乾燥します。
エアコンだと乾燥を感じやすいというだけです。
今回はこの乾燥の原因や対策について書いていこうと思います。
Contents
冬に乾燥する理由
詳細な話は割愛しますが、以下のことに留意してください。・空気は温度が下がると、空気中に存在できる水蒸気量(飽和水蒸気量)が減ります。
・逆に温度が上がると、空気中に存在できる水蒸気量(飽和水蒸気量)が増えます。
・飽和水蒸気量に対して含有する水蒸気の割合(湿度〇〇%と呼ばれるもの)を相対湿度と呼びます。
・飽和水蒸気量に関わらず、その空気が含んでいる水蒸気の量を絶対湿度と呼びます。
温度が上がり飽和水蒸気量が大きくなるほど、物が含んでいる水分が蒸発しやすくなります。
例)温風に当てたり夏になると洗濯物が乾きやすい
ただ、温度が高くてもその空気の相対湿度が高い場合は乾燥しません。
例)お湯を張ったお風呂の上では洗濯物は乾かない
ではなぜ冬は乾燥するのか。
それは気温が低い空気を換気時に取り入れて、その空気を暖房で暖めるためです。
図にすると以下の通りです。
温度が低いと絶対湿度(その空気が含んでいる水蒸気の量)は少なくなります。
そしてその空気を暖めると、絶対湿度が低いまま飽和水蒸気量が高くなるため乾燥しやすくなります。
要は温度が低い空気をそのまま暖めると乾燥しやすい空気になるわけですね。
そのため、エアコンだろうが床暖房だろうがオイルヒータだろうが関係なく乾燥するのです。
それでもエアコンが乾燥しやすいといわれる理由は風のせいです。
なので体に当たらないようにエアコンを配置することは重要だと過去記事で述べているのです。
また、高高住宅だと乾燥しやすいといわれることもありますが、これは室内の温度をしっかり上げることができるからであり、高高住宅であることが直接の原因ではありません。
余談ですが、ガスや石油を燃焼させるタイプのストーブは、燃焼時に水蒸気も多量に発生するため乾燥しにくいです。
ただし、二酸化炭素も発生するため、特に高気密な住宅においては二酸化炭素濃度が上がりすぎる恐れがあり、使用すべきではありません。
乾燥対策
さて、乾燥の原因はわかりましたが、実際どうすれば対策できるか。以下の記事にコダテルライターのびびさんが書いてくれているのでこれを読んでください。
以上!
…といったら怒られそうなので、びびさんの記事と被る内容もありますが、思いつく限り書いていきます。
①加湿器を使う
湿度が足りなければ足せばいいわけです。
正直な話、加湿器なしで冬の乾燥を防ぐのは結構難しい気がします。
理由は割愛しますが、高高住宅なら気化式の加湿器がおすすめです。
②換気量を減らす
冬に乾燥する理由は、低い気温によって水蒸気量が少なくなっている空気を換気時に取り入れてるためということを前述しました。
ですから、乾燥を抑えたいなら換気量を減らせばいいですし、換気量を抑えることで冷暖房の負荷も抑えられるため、消費電力も若干下がります。
換気扇には強・弱の切り替えスイッチがあると思うので弱にしましょう。
また、給気口で換気量を調整できるので、そこで換気量を下げたらいいと思います。
(調整方法はメーカに問い合わせましょう)
ただし、下げすぎると二酸化炭素濃度が上がってしまうため、二酸化炭素濃度計測器を購入し、1000ppm以上にならない程度にするとよいでしょう。
③熱交換器(全熱タイプ)付きの第1種換気を採用する
冬は外気をそのまま取り入れると家の中が乾燥しやすくなりますが、熱交換器付きの換気システムであれば、排気時の熱と湿気を給気される空気に混ぜて換気を行うため、乾燥と温度低下を抑えることができます。その分、コストが高かったりメンテナンスが面倒だったりしますので、予算や暮らし方に合わせて採用するか決めるといいでしょう。
換気システムについては過去記事で解説しているので、そちらも参考にしてください。
④高気密な家にしてもらう
気密性が低いと隙間から外気が入るため、余計な換気がされて乾燥の原因になります。
現在の家は昔ほど隙間だらけではないですし、気流止めもされている(はず)ですので換気に比べたら影響は小さいと思いますが、多少は影響すると思います。
気密性を高めることは、正しい換気のために大事なことですので、普段から気密測定をしている業者を選ぶとよいでしょう。
⑤断熱性・気密性の高い窓を使う
なぜ高性能な窓が乾燥の対策に?と思うかもしれません。
断熱性・気密性が低い窓は室内側が冷え結露が発生しやすいです。
(ルーバー窓や換気框が付いた窓は特に良くないです)
窓が冷えると結露を引き起こしますが、この結露水は空気中の水蒸気が冷えて水になったものです。
つまり、低性能な窓は除湿器のような働きをしてしまうのです。
この結露が湿度にどれくらい影響を与えているかは正直わかりませんが、多少は乾燥に影響していますし、低性能の窓では加湿をしても結露が増える可能性があります。
窓は壁に比べて熱の出入りがしやすいですし、冷暖房負荷の観点からも高性能な窓を使うことは有効ですので、ぜひ高性能な窓を採用いただきたいです。
過去記事にも書きましたが、樹脂サッシ・ペアガラスの窓は比較的コスパが良いのでお勧めです。
予算に余裕があるならトリプルガラスも検討しましょう。
窓について知りたい人は以下の記事も参考にしてください。
⑥日常生活での湿気を利用する
根本的な解決にはなりませんが、日常生活で発生する水蒸気を活用することで多少は湿度を上げることができます。
例えばレンジフードを回さず料理をしたり、洗濯物や濡らしたタオルを干したり、お風呂の換気扇をつけずにお湯を残しておくなどでしょうか。
やりすぎると結露やカビの発生につながってしまいますが、どれもコストを掛けずにできるので試してみてください。
終わりに
今回はエアコンの乾燥に関する誤解と、乾燥対策について書いてみました。本記事を書いた一番の理由はエアコンの誤解を解くためです。
エアコンは冷暖房器具としては極めた優れた省エネ性を有しており、理由がない限りはエアコン以外を使用する必要がないと思っています。
乾燥を理由にエアコンを避ける状況はもったいないと思い、本記事を書きました。
エアコンで乾燥を感じやすい理由は風が体に当たることですので、長時間居座る場所にエアコンの風が当たらないように配置しましょう。
また、家を高断熱にすることでエアコンの風を弱くしても暖房されるため有効な手段です。
冬を題材にするには少し遅かった気もしますが、対策の中には家づくりの時点でしかできない内容も含んでいるため、これから家づくりをする人にも参考にできる内容かと思います。
色々試してみて、乾燥のない快適な住環境づくりをしてみてください。
では。
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