第30回 投資用物件購入に関するトラブル相談事例


コロナ禍における賃貸経営に関するトラブルとしては、入居者の経済状況の悪化からの家賃滞納や家賃の減額請求などがありますが、この件数は、これからも増加し続けると考えられ、コロナ禍が収束しても、すぐには減少に向かうとは考えにくいでしょう。以下に、投資用物件に関する典型的な相談事例を示しますが、投資用中古物件を購入する際には、平素以上に「現地の確認」や「滞納者がいないか」など、後々のトラブルになるようなリスクについて注意を払う必要があるといえます。



投資用物件購入×誇大広告のトラブル

A氏は、不動産仲介業者が出していたチラシ(物件概要が記載されているもの)を見て物件を購入しましたが、チラシより実寸が小さく、入居者からクレームを受けてしまい、家賃減額と迷惑料を入居者に対して負担することになってしまいました。ちなみに、物件購入時のチラシ表示は7.5畳で実寸は6.1畳でした。A氏は、このチラシ内容は誇大広告には当たらないか、損害賠償等の対象にはならかいかなどを確認したいと、相談に訪れました。



 

投資用物件購入×投資コンサルのトラブル

 

B氏は、投資用ワンルームマンションを、不動産投資コンサルタントから提示された「不動産価値は必ず上昇する」というシミュレーションを信用し、言われるままに立て続けに3部屋購入しました。しかし、実際売却をしようとしたところ、過去に説明してもらった内容がすべて実態とかけ離れており、収支がマイナスになることが分かりました。その後、不動産投資コンサルタントに、説明と違うことに対する責任をとるよう要望しましたが、まったく取り合ってもらえない状況であり、どのような対応を今後とるべきか相談したいと、相談に訪れました。



投資用物件購入×設備のトラブル

C氏は、投資用不動産を購入したのですが、購入後、過去の消防設備点検において指摘事項があり、消火器等の交換が必要であったことが分かりました。ここでC氏は、指摘を受けたのは購入前であるため、本来は売主が交換費用を負担するべきであると考え、売主とトラブルになりました。さらに、1階エントランス付近に設置されている自動販売機の売り上げが悪く、電気料金分の赤字が出ていることが分かりましたが、物件購入検討段階では自動販売機の売り上げについては全く説明をされていませんでした。電気料金という比較的少額の赤字であっても、事前説明のない出費に対して快く思わないC氏は、この件についても相談がしたいと、相談に訪れました。


ABOUTこの記事をかいた人

慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、大手資格取得の専門予備校LEC<東京リーガルマインド>で講師として働きつつ、中央大学法科大学院を卒業。現在、(株)M&Kイノベイティブ・エデュケーション代表取締役のほか、(一社)日本不動産仲裁機構の専務理事兼ADRセンター長を務める。