コロナ禍によって活気づいている業態として、代表的なものはオンラインショッピングサイトやフードデリバリーサービスなどが挙げられますが、ホームセンターの売り上げも好調です。その理由にはDIYの盛況が挙げられますが、これは在宅時間が増えたことによって「家をより快適なスペースにしたい」という思いが強くなったことと、作業時間を確保しやすくなったという理由が考えられます。 一般的にDIYは所有しているマイホームにて行うものというイメージがあると思います。当然、賃貸物件においては、物件に傷をつけるような行為をしてはいけませんし、ペンキを塗ったりするのはもちろん、壁に画鋲を刺すことにさえ気を遣う必要があります。したがって、一般的な賃貸物件においてはDIYを楽しむことはできませんし、仮に、様々なDIYを行っても、退去の際には原状回復をしなければなりません。しかし、賃貸でもDIYが楽しめる物件もあります。それが、「DIY賃貸物件」です。 この賃貸物件は賃貸物件でありながら、入居者がDIYをすることのできる物件を指します。例えば、「壁については釘穴を空けても問題なし」など、範囲を限定して原状回復義務を免除しているため、修繕費用の負担を気にせずカスタマイズが可能なのです。 とはいえ、いくら物件をカスタマイズできるといっても、「DIYをしても良い範囲はどこまでなのか」等をしっかりと決めておかなければ、退去時にトラブルとなってしまう可能性があります。この点、国土交通省では、賃貸住宅の流通促進の一環として、DIY型賃貸借の普及に取り組んでおり、DIY型賃貸借の活用を促進し、DIY型賃貸借による契約当事者間のトラブルを未然に防止するという観点から、「DIY型賃貸借に関する契約書式例」や、DIY型賃貸借の活用にあたってのガイドブック『DIY型賃貸借のすすめ』を作成し、公開しています。 『DIY型賃貸借のすすめ』によると、①貸主は原則として、入居前や入居中の修繕義務を負わない、②借主が自己負担で修繕や模様替えを行い、その箇所については退去時に原状回復義務を負わない、③賃料は市場相場よりも安く設定される、等が定められています。 貸主と借主の契約がしっかりと定められていることは、両者間のトラブルを未然に防ぐ効果があると考えられますが、それだけでは入居者同士のトラブルを防ぐことはできません。入居者同士のトラブルとしては、①DIYをする際の騒音や粉じん、②DIYによる水もれ、③使用する塗料を原因としたシックハウス症候群等があります。これらについても配慮した契約等をしておく必要があります。
賃貸物件でもDIYを楽しむことが可能に
やはり否定できないトラブルの可能性
入居者同士のトラブルにも注意
第32回 DIYに関するトラブル事例
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