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第4回 旭化成ホームズ株式会社の評価

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名の旭化成ホームズよりも商品名のへーベルハウスのほうが認知されていると思います。

へーベルハウスの起源は、旭化成が1967年へーベル版を商品化し、1972年にヘーベルハウスとして住宅事業に参入しました。主要構造は鉄骨造で、外壁・床にヘーベル版を使用しています。

旭化成ホームズ総合評価:★★★★★(4.33)
耐震:★★★★★(5)
断熱:★★★★(4)
気密:★★(2)
耐火:★★★★★(5)
遮音:★★★★★(5)
耐久:★★★★★(5)
設計自由度:★★★(3)
施工力:★★★★★(5)
アフター体制:★★★★★(5)

へーベル版とは、軽量気泡コンクリートで英語では、Autoclaved Lightweight aerated Concreteで表記され頭文字をとってALC版と呼ばれる一般建築資材です。認知度は商品名の「ヘーベル」が有名ですが、耐震性などの主要構造はあくまでも鉄骨造です。

鉄骨は軽量鉄骨と重量鉄骨の2通りの商品を用意しています。鉄骨造のハウスメーカーの中では、単位面積当たりの使用している鉄骨重量は一番重いといえるでしょう。

鉄骨で注意すべき点の一つは錆に弱いということですが、鉄骨組み立て時の際に鉄骨をクレーンで荷揚げする際に傷をつけることが多く、錆止め塗料が剥げるケースがよくあります。

錆止め塗装がはがれた個所の補修方法が問題で、本来は刷毛塗りで補修するのが望ましいのですが、現場で刷毛塗りしているメーカーはヘーベルハウスだけのようで、他社は錆止めスプレー補修をしている違いが見受けられます。

次の注意点はヒートブリッジ(熱橋)です。

ヒートブリッジとは、熱伝導率の高い「鉄」が、外部の温度を建物内部に伝達させてしまうことです。

注)下記の写真は説明用のため、断熱工事途中のものですが、青い(ほかの部位より温度が低い)部分がヒートブリッジ発生個所です。

ヘーベルハウスは屋根を外断熱、外壁は鉄骨の外側で断熱処理をしているのが特徴で、ヒートブリッジ対策は鉄骨メーカーの中では注意しているといえます。

しかしながら、建設地の条件によっては、北側斜線などの制限で屋根が一部斜めになる場合があり、水平の屋根部分は外断熱ですが、斜め屋根部分は内断熱にしており断熱ラインが切り替わります。

この部分の断熱欠損が起きる現場があるのが要注意です。

点線部分が、断熱材ラインの切り替え。赤外線カメラでもはっきりと温度差異が確認できます。

設計はすべて社内設計ですが、自由設計といえどもへーベル版の最小単位が305ミリなので、ミリ単位の設計は苦手といえます。現場施工体制は、子会社の旭化成住宅建設と指定工事店(工務店)の2通り有りますが、技術的な差異は感じられません。

施工要領や、詳細箇所の取り決めなど、業界ではマニュアル整備が最も優れている会社と言えることが起因でしょう。

一方、「ロングライフ戦略」という耐久性・保証期間、付随するアフター部門整備を業界で最初に提唱した経緯もあり、建てた後の安心感は高いと言えます。

旭化成ホームズ株式会社の評価は以上です。

次回はホームインスペクションでの実体験に基づいて、パナソニックホームズ株式会社を評価します。

市村崇 このコラムの執筆者
市村崇(イチムラタカシ)
一級建築士・ホームインスペクター。大手HMの現場監督を経て2007年に設計事務所・工務店を設立、10年間で500棟以上の施工管理を行う。2013年に(社)住まいと土地の総合相談センター副代表に就任。建築トラブルを抱える多くのクライアントの相談に乗る傍ら「絶対に後悔しないハウスメーカー&工務店選び 22社」など多くの本を企画、執筆している。

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