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第29回 断熱性に関する基本知識 その1

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れから数回に分けて断熱に関するお話をしていきます。

現在、国が推奨している「いい家」とは、高耐震住宅にならび、高気密・高断熱住宅が挙げられます。

高気密・高断熱、つまり省エネ住宅がいいよ!と国が言っているという理解でいいでしょう。以前「省エネVSパッシブ!?」というコラムを寄稿しましたが、複数回に分けてこのあたりの話を深堀していきます。

よくある質問に、「断熱材は何がいいのでしょうか?」があります。

普遍的にパーフェクトな断熱材があればいいのですが、材料自体で断トツの優位性を誇るものはありませんね。仮にそうであれば、全社同じ断熱材を選定していると思いますし・・

大手ハウスメーカーの主な壁断熱の仕様を確認してみると
鉄骨系では、積水ハウス(グラスウール)

ダイワハウス(グラスウール)

ヘーベルハウス(ネオマフォーム)

パナソニックホームズ(ロックウール)

木質系では、
積水ハウスのシャーウッド(ロックウール)

住友林業(グラスウール)

三井ホーム(ロックウール)

ミサワホーム(グラスウール)※パネル工法のため写真無

一条工務店(ウレタンフォーム)

住友不動産(グラスウール)

という具合で、圧倒的に繊維系の充填工法を採択しています。これはコスト、工期、作業効率を考えたうえでのものだと理解できます。

断熱性能に関係する熱抵抗は、「材料の厚み」と「断熱材の性能(熱伝導率)」で決まりますから、基本的に性能が高い低いはもちろん大切ですが、厚みをきちんと確保しているか?が重要なポイントです。

特に、繊維系断熱材は中の空気量が断熱性能に直結します。図面上、厚みが確保されているから・・ではなく、きちんとした厚みを確保するのが大切ですね。

下の写真は断熱材をつぶして施工しているため、空気がほとんどない=断熱性能がきちんと発揮できていない状況です。

また、一見して断熱材が施工されているように見えますが、内部がスカスカ・・というのも当然、断熱性能は極端に低下します。

まずは材料選定以前に、施工品質がとても重要だと理解できると思います。

次回は繊維系断熱材の施工チェックポイントを解説します。

市村崇 このコラムの執筆者
市村崇(イチムラタカシ)
一級建築士・ホームインスペクター。大手HMの現場監督を経て2007年に設計事務所・工務店を設立、10年間で500棟以上の施工管理を行う。2013年に(社)住まいと土地の総合相談センター副代表に就任。建築トラブルを抱える多くのクライアントの相談に乗る傍ら「絶対に後悔しないハウスメーカー&工務店選び 22社」など多くの本を企画、執筆している。

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