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第6回 売る側が使う心理テクニック:その1:イエスセット

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ンサルタントの山本広高です。
前回は「サポータータイプ」を軸に類似性の法則について説明しました。
第六回は「売る側が使う心理テクニック:その1:イエスセット」です。これまでは人のタイプ分けを行い、そのタイプの方が影響を受けやすい心理のテクニックをご紹介してきました。第六回以降はタイプに関わらず影響を受けるテクニックについてご紹介します。

いわゆる優秀で高い販売記録を持つ販売員は必ずといって使っているテクニックを今回から数回にわたり、ご紹介します。テクニックとして認識している販売員もいるとは思いますが、おそらく本能的に行っているであろう、もしくは経験から使っていると思われます。

今回ご紹介するイエスセットもその一つです。
販売員の方と以下のような会話をしたことがありませんか?

販売員「暑い中ご来店頂きありがとうございます、部屋にずっといると冷房が効いていて感じないんですが、外は暑いですよね。」
あなた「はい、暑いんですよ、今日も35度以上のようです。」
販売員「外に少しいるだけでぼーっとして熱中症になりそうですよね」
あなた「そうですね、干からびそうになります!」

販売展示場での会話の途中で、以下のようなやり取りありませんか?

販売員「お子さん小学生ですか?」
あなた「はい、5年生です」
販売員「眼鏡かけているようですが、視力悪いんですか?」
あなた「はい、もう近視になっちゃって両眼共に0.5くらいなんです。」
販売員「勉強だけでなく、ゲームやYouTubeの見すぎで視力落ちている小学生が増えていると聞きますからね~。」
あなた「そうなんです、動画の見すぎじゃないかと思っています。」

実はこの会話の中にイエスセットのテクニックが盛り込まれています。
イエスセットとは、簡単に言うと、相手が「YES」と必ず答える質問を投げかけることで相手との信頼関係を築くテクニックです。

最初のやり取りでは天気の話をしました。
もはやこれは鉄板で、天気の話で「はい(YES)」を取るのは営業担当者の会話の導入としてはあまりに有名なやり方です。

そんなこと考えたことがなかった!という方も多いかもしれませんが、営業担当者はあなたとの距離を縮めるために、必ず共通項を探し、「YES」を取りにきます。天気の話、スポーツ(男性ならゴルフ、野球、サッカー、相撲など)の話、子供の話、出身地の話、こうしたキーワードを幾つか投げかけてきます。

少しでもあなたが興味を持ったキーワードに対して少しずつ掘り出すような質問を投げかけつつ、「YES」を取りにきます。人の心理として、会話の中で「YES」を連呼していると、少しずつ相手を信頼し始めます。これを専門用語ではラポール(共感)を築くと言います。

販売員にとって、ラポールを築くことができれば、よし売れる!くらいの感覚があるかもしれません。もちろんそこまでの信頼関係を築くのはきめ細かな対応、丁寧な話し方、などいくつものステップを踏んでこそですが、基本中の基本の会話としてイエスセットがあるのです。

勘違いしないでいただきたいのは、ラポールを築くのはあなたをだまそうとしてる訳ではありません。あなたの課題を解決するために、その課題が何かを探るために、その前提としてあなたとの距離を縮めようとしている行為です。多くの販売員はテクニックだと考えてもいないことでしょう。

基本的にはこのような心理テクニックは言語化されて初めて認識されるようになったという経緯があります。なぜあの人は人の心をつかむのがうまいんだろう、どういう話し方、会話のやり方をしているんだろう、という“不思議”を分析したことから始まったようです。

営業担当者が使っているな~と感じる一方で読者ご自身もコミュニケーションツールの一つとして使ってみてもいいかもしれません。

次回は
「売る側が使う心理テクニック:その2:ダブルバインド」
です。ご期待下さい。

山本広高 このコラムの執筆者
山本広高(ヤマモトヒロタカ)
株式会社THINCESS代表取締役。JIMC日本統合医療センター四ツ谷なかよし鍼灸院を経営。様々な業種における販売支援、新事業立ち上げ支援を行う現場重視のコンサルタント。

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