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第15回 売る側が使う心理テクニック:その10:テンション・リダクション効果

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ンサルタントの山本広高です。
前回は「カクテルパーティ効果」と呼ばれる、人は無意識下で物事を選択してしまう心理についてご紹介しました。

第十五回は「売る側が使う心理テクニック:その10:テンション・リダクション効果」です。

何か大きな決断をした後、大きな壁を乗り越えた後、目標を達成した後、こういった緊張感が高まった後に人は一気に緊張が解けて注意力が散漫になりがちで判断を誤りやすくなります。こうした状態をテンション・リダクションと呼びます。

「お家に帰るまでが遠足です!」
このフレーズを聞いたことない人はいないでしょう。遠足先から学校に戻ってきたら帰ってきたものだと安心してしまいがちですが、家に帰るまでの帰路こそが最も疲労と安心で不注意な事故に遭遇しやすい状況です。だからこそ注意喚起されたよい例です。

営業のシーンで有名なものは以下のフレーズです。
「ポテトはいかがでしょうか?」
このフレーズも聞いたことある方が多いと思います。ドリンクだけ、もしくは、ハンバーガーとドリンク、という注文をした方に対して、追加注文を促す一言です。セットがお得です、なんて言われたら思わず「じゃあそれで。」なんて返事したことがあるのではないでしょうか。

テンション・リダクション効果は住宅購入時においてもかなり強力に影響を及ぼします。住宅の購入までの道のりは長く、何社もの営業の方と打ち合わせをして決めます。どんな人でも購入決断の後には緊張がほどけます。この状況で内装や家電、家具などを次々と決めていく決断を迫られるとどうしても判断は鈍ります。よりいいものを選択したくなってしまうのです。

特に住宅の場合購入単価が高いため、他のオプション商品を安く感じてしまうのです。ソファやダイニングテーブルが20万円でも、3000万円の家を購入した後ではなんとなく安く感じてしまうに違いありません。

他にもいわゆるWebを巡回していてしばしば目にするリコメンド機能もこの効果を使っていると言えます。Amazonで何か購入しようとすると決済前に必ず「この商品を購入した人はこんな商品も買っています」、というメッセージが現れます。該当商品を買った人で、自分と似た購買履歴のある人の購入履歴から商品を提案してきます。正直、確かにこれも読んでみたいな、という本を紹介してくれるので大変優秀なロジックが仕込んであると思われます。

続いて紹介するのはスーパーのレジ横の棚です。すでに購入を決めており、あとは支払うだけ、という状況でガムやアメ、雑誌、電池などを見て思わずもう1品購入をしてしまうシーンが想定されています。意図的に追加で選びがちな商品が置かれています。

このように、テンション・リダクション効果はいたるところに張り巡らされています。見つけたら、「あ、これだな。」と思う意識を持つことで立ち止まって購入判断を客観的に考えることができるようになります。みなさまの聡明な判断の一助になればと思います。

次回は
「売る側が使う心理テクニック:その11:プロスペクト理論」
です。ご期待下さい。

山本広高 このコラムの執筆者
山本広高(ヤマモトヒロタカ)
株式会社THINCESS代表取締役。JIMC日本統合医療センター四ツ谷なかよし鍼灸院を経営。様々な業種における販売支援、新事業立ち上げ支援を行う現場重視のコンサルタント。

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