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第18回 売る側が使う心理テクニック:その13:双曲割引

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ンサルタントの山本広高です。
前回は「ハーティング効果」と呼ばれる、周りの意見に同調してしまう心理についてご紹介しました。

第十八回は「売る側が使う心理テクニック:その13:双曲割引」です。
双曲割引とは、ジョージ・エインズリー氏によって提唱された、遠い将来は待つことができるが、近い将来は待つことができないという非合理的な行動に基づいて名付けられた行動経済学用語の1つです。

分かりやすい例を示しましょう。
① 今100万円もらう
② 一年後に110万円もらうかの選択

貴方ならどちらを選択しますか?
今の100万円の方が、価値が高いように感じるのが一般的だと思います。しかし、今の金利の状況が1年続くと考えると②を選択すべきでしょう。今100万円もらっても1年後に110万円になることはよほどのハイパーインフレが起きない限り無理です。

もちろん、もし貴方が不動産投資、株式投資、為替投資、その他投資に長けている場合、年率10%のリターンであれば今現金を受け取る方が、価値があると判断するかもしれません。しかし、そうした方は例外だと考えると、理屈はどうあれ、人は目の前の価値を選びやすいものです。

住宅購入時のローンについて考えてみましょう。
例えば、3000万円の借入がある場合、金利が1%だとして35年ローンを組むと、約85000円/月の支払いです。しかし、20年ローンを組むと約138000円/月の支払いになります。当たり前ですが、月当たりの支払い額は大きな差があります。

少しゆったりと返済しようと思って35年ローンにした場合、支払総額は約3,557万円(計算式は割愛します)、つまり557万円も利息を支払う必要があるのです。一方で、20年ローンにした場合の支払い総額は約3,311万円になります。金利の支払いがいかにインパクトがあるか、分かると思います。当たり前ですが、金融機関側は長期のローンを組んでくれる方が嬉しいのです。それは金融機関にとってはその方が利息を取れるからです。

もちろん、税控除があるので実際には変動します。お子さんがいて現状の所得を考えると35年ローンしか選択肢がないという場合もあると思います。しかし、金利の支払いは想像以上に大きいものだと認識してローンを組むことが重要です。毎月の支払が少ないから、というのは俯瞰して支払い総額を見ると大きな差となって現れるということを理解しておくことが重要です。

双曲割引という用語を用いてローンの返済についてご説明しました。どうしても人は目の前の利益にとびつく傾向があります。今回の話だけではなく、様々なシーンで不合理な選択をしてしまいがちです。ちょっと立ち止まる勇気を持ちたいですね。

次回は
「売る側が使う心理テクニック:その14:保有効果」
です。ご期待下さい。

山本広高 このコラムの執筆者
山本広高(ヤマモトヒロタカ)
株式会社THINCESS代表取締役。JIMC日本統合医療センター四ツ谷なかよし鍼灸院を経営。様々な業種における販売支援、新事業立ち上げ支援を行う現場重視のコンサルタント。

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