家づくり相談室「コタエル」に来た質問にお答えします!
今回の質問はこちら!
HMでの注文住宅を検討しています。
https://twitter.com/kodate_ru/status/1526091081007280128
将来的に転勤の可能性があり、その際は建てた家を売却するかもしれません。
スムストックという制度がありますが、ブロガーの皆様はこの制度をどのように思われますでしょうか?
普通の中古住宅より割高な部分で低評価なコメントも見受けられますが、個人的には将来ちゃんと役に立つ制度になるのかなと考えています。
質問者:jack
「スムストック」という言葉自体、聞き慣れない方も多いかもしれません。
今回は、スムストックって何?というところから、私なりに思うところを書かせていただこうと思います。
スムストックとは?
スムストックって何?
スムストックとは、大手ハウスメーカー10社が共同で2008年に設立した「一般社団法人優良ストック住宅推進協議会」が推進するシステムで、「優良な既存住宅を住み継ぐ」ための仕組みです。
- へーベルハウス
- 住友林業
- セキスイハイム
- 積水ハウス
- ダイワハウス
- トヨタホーム
- パナソニックホームズ
- ミサワホーム
- 三井ホーム
- ヤマダホームズ
住宅についてフロー型社会からストック型社会への変換を目指し、適正な評価による既存住宅の普及を図ること
優良ストック住宅推進協議会について|スムストック – 優良ストック住宅推進協議会 (sumstock.jp)
既存住宅について、独自の査定方式による査定に努め、その流通を推進し、住宅の長寿命化に取り組むとともに、良質な既存住宅の供給を通じ、安全で安心できる良好な居住環境の提供を促進すること
このような目的が掲げられています。
スムストックの認定条件は?
優良ストック住宅推進協議会に属する大手ハウスメーカー10社で建てられた建物のうち、
①50年以上の長期点検・メンテナンスプログラムがあり、計画通りに実施されていること(基準を超える劣化がないこと)
②修理やメンテナンス履歴をデータベースで保有されていること
③1981年改正の建築基準法で定められた「新耐震基準」を満たす耐震性能を有すること
が最低条件となっているようです。
スムストックの特徴は?
スムストックの特徴は、
①スムストック独自の査定方式で、スムストック住宅販売士が査定から販売までを行うこと
②建物価格と土地価格を分けて表示すること
だと思います。
査定や販売は、優良ストック住宅推進協議会の定める研修カリキュラムを終了した(またはそれに準じる)「スムストック住宅販売士」が行います。宅地建物取引士の資格を有し、各ハウスメーカーが規定した試験に合格している方々だそうです。
売却期間は通常販売開始から3か月で売却できるよう動いてくれるとのことで、買い手側は売り手側の了承のもと通常通り内見なども可能だそうです。
査定基準も、参加各メーカー合意の独自のもの。各社既定の定期点検や査定時点検済みの物件で、構造躯体(6割)と内装・設備(4割)で評価されるそうです。
また、一般的には分けられることのない建物と土地を別々に評価して価格表示してくれることで、建物本体の価格がわかりやすくなっています。
詳細はこちら!
大手ハウスメーカー10社で建てられていて、定期点検やメンテナンスなどをしっかり受けている、更にその記録が保存されているなどの基準をクリアした中古住宅を売買する仕組み、ということですね!
寿命が短いと言われる日本の住宅。
どんどん新しい家を作ればよい!ということではなく、「良い家を建てて長く住む」ことを目指した制度のようです✨
スムストックのメリットとデメリット
制度を調べる中でわかったメリットとデメリットをまとめてみます!
スムストックのメリット
売り手側のメリットとしては、
・土地と建物の価格が別々に評価される
・建築先のハウスメーカーの構造や付帯物などの特徴を知り尽くした査定者による査定を受けられる
という点が挙げられると思います。
一般的には日本の住宅は20年以上経過すると建物価格がゼロになる、などと言われます。
スムストックは建物を土地と分け、しかも各ハウスメーカーの特徴や耐用年数を考慮したうえで査定することで、従来よりも価格の下落が抑えられる(=高く売却できる)可能性があるようです。
一方で、買い手側のメリットとしては
・査定基準がしっかりしていることで、中古住宅で一番不安な「建物の不具合や劣化」への不安が軽減されやすい
・購入後、メーカー保証が引き継がれる
・再度売却するときにも、スムストックを利用できる可能性がある
などが挙げられます。
建築先のハウスメーカーは、基準に照らしてしっかり査定して建物の状態を確認し、住み手が変わった後もメーカー保証を継続することになります。
中古住宅を購入する側からすると、建物の状態に関する不安が一番大きいと思いますので、この点は大きな安心感に繋がると思います。
また、購入後も定期点検やメンテナンスを継続することで、売却の必要が生じた場合でも再度スムストック制度を利用できる可能性があります。
スムストックのデメリット
売り手側のデメリットとしては、
・定期点検やメンテナンスを受け続けなければ基準を満たさない
・必ずしも従来価格よりも高く売れるとは限らない
といったところでしょうか。
「大手ハウスメーカーの長期保証は、囲い込みだ!」などという批判を目にすることもありますが、基本的には長期保証を受けるためには建築先ハウスメーカーでの点検やメンテナンスが必須になりますし、リフォームなどを他で行い躯体に手を付けてしまうと、メーカー保証を外れてしまう場合が多いといわれます。
スムストック制度の利用も同様で、定期点検やメンテナンスが必須になり、怠るといざ売却を考えた時にスムストックの基準を満たさなくなる場合もあります。
(点検を受けてこなかった場合は「査定時点検」を受けて判断されることになるそうです。各ハウスメーカーによって基準は異なるとのこと。しっかり相談した方が良さそうです!)
パナソニックホームズのアフタ―サポートやメンテナンスに関してはこちらにまとめています☆
一方、買い手側のデメリットとしては
・購入価格が割高になる可能性がある
・物件数がまだまだ少ない
という点が挙げられます。
売り手側のメリットと表裏一体ではありますが、築年数が経過しても売却価格が保たれるということは、買い手側からすると「割高」に感じられる場合もあると思います。
また、制度がまだまだ浸透しきっていないのか、物件数は少ない印象を持ちました。
試しにスムストックHPにて物件検索をしてみましたが、2022年5月現在、関東地区で物件数は231件。
我が家の建築先ハウスメーカーであるパナソニックホームズでは、わずか5件しかありませんでした。
これはさすがにびっくり!!
スムストックについてどう思うか?という質問に対する個人的な見解
なが~い前置きになってしまいましたが、本来のご質問は「スムストックという制度についてどう思いますか?」というものでした。
ここからは、私個人の見解を!
今回は、売り手側の立場としてスムストック制度をどう思うか、というお話でしたので、自分が自宅を売却に迫られた時に利用するかどうか、という目線で考えました!
制度としてはまだまだ発展途上!?現時点での第一選択肢にはなりにくい
現時点で自宅を売却しなければならなくなった時に利用するか?と言われると・・第一選択肢にはなりにくいな、というのが正直なところ。
私自身も「スムストック」という名前を聞いたことがある程度で、今回詳細を調べるまでは中身を十分には理解していませんでした。
まだまだ一般的な知名度は低く、制度の普及も不十分で、発展途上なのではないかと感じます。
基本的には売却を希望した場合、3か月程度で売却できるようスムストック住宅販売士の方が動いていただけるということでしたが、登録物件数が少ないことからも市場としては活発ではなく、買い手の方に見つけてもらいにくいのではないか?という不安が消えないと思います。
選択肢がある、ということは将来的にはメリットもありそう
現時点での第一選択肢にはならない、と書きましたが、将来的にはどうなるか?これは誰にもわかりません。
住宅価格は高騰しており、新築住宅を手にできる人ばかりではなくなっていると思います。
新築住宅を手に入れることは出来なくても、中古住宅なら・・そして、中古住宅の中でもなるべく質が高く安心できるものを、というニーズが増えた時に、いわば”認定中古住宅”であるスムストック制度が真価を発揮すると良いな、と思います。
その際、「選択肢の一つ」として自分の家も条件に当てはまればいざという時には安心です。
参加大手ハウスメーカー10社で建築していること、規定の定期点検やメンテンナンスを受けていること、などの条件があるため、決して全員にハードルが低いというわけではないですけどね💦
(我が家は建築先こそ満たしているものの、メンテナンス費用などは長きにわたり重くのしかかりますからね・・)
実際我が家も将来的な転勤の可能性がゼロではない環境ですので、とりあえずは選択肢を残すためにも規定の定期点検やメンテナンスは確実に実施すると思います。(点検やメンテナンスをするメインの理由がそれというわけではないですが)
ただし、年月が経過し転勤の可能性がゼロに近づいてきた時期にリフォーム等したくなったら・・・その際にはわかりません(笑)
とにもかくにも、制度の普及に期待!!
jackさん、お答えになったでしょうか?
拙い説明になったかもしれませんが、質問いただけたことで私自身も学びの機会となりました!
ありがとうございました✨
今回は、ここまで!
最後までお読みいただき、ありがとうございました✨