クロセの記事を読むのが初めての方は、まずこちらの記事をお読みください。
ども、クロセです。
前回までの記事では高高住宅のメリットについて語ってきました。
皆さんが知っている以上のメリットに気づいてもらえたのではないでしょうか?
マイホームを高高住宅にしたいですよね!?(食い気味
しかし、マイホームを高高住宅にするうえで、実は大きな問題が1つありまして…
そのことに留意していないと「偽物」の高高住宅を建ててしまうことになってしまいます。
今回はその問題についてお話しておこうと思います。
高高住宅を建てたいと考えている人は、この問題を必ず留意しておいてください。
Contents
高断熱高気密には定義がない!
大変恐ろしい話ですが「高断熱高気密の家」には明確な定義がありません。例え断熱材がテキトーで気密測定をしていない家でも…
童話に出てくるようなメルヘンなおかしな家でも…
1500円で買えるようなテントでも…
と自称した瞬間から高断熱高気密の家になってしまうのです。
実際、私もそういった経験をしています。
今思うとそこまで高性能な仕様でもないのに高高住宅と紹介されました。
ある程度勉強をしていなければ騙されていたかもしれません。
こういうことがあるので、「本物」の高高住宅を建てるためにはある程度の知識があったほうが有利になります。
どれくらいの家なら高断熱高気密といえるのか?
この話をする前に注意点を。このことは本当に難しい話で、私のような素人が下手にこういった話をすることはいろいろな誤解を与えかねないのでよろしくないと思っています。
何度も言っておりますが、高断熱高気密は手段であって、最終的な目的は快適に過ごせることと、家にかかるイニシャルコスト・ランニングコストの最適化です。
「この値が最低限です」なんて言ってしまうと、その数値だけが一人歩きしてしまう可能性があるわけです。
ですので、今回示す値はあくまで高高住宅を建てている業者を探すための目安に過ぎないということに留意してください。
高断熱はHEAT20のG2ぐらいから
温熱に詳しい人たちの意見を聞くと、断熱性はおおよそ「HEAT20」という基準の中で「G2グレード」を高断熱かどうかの境目とする人が多い印象です。(重ね重ね注意しますが、あくまでわかりやすくした目安であり、高断熱を保証する値ではありません。)
この基準を高断熱とする理由として、これぐらいの断熱性能から24時間全館空調を実施しても光熱費を抑えられるからだそうです。
もちろん、断熱のバランス・日射制御・間取りなどを正しく設計することが前提ですが。
ちなみに、「HEAT20」の「G1グレード」というものがあり、これはG2グレードより下の性能ですが、30年間ぐらいの生活を前提としたときに家に関する総コストが最適になる断熱性能といわれております。
一般的なハウスメーカでは「断熱等性能等級4」「ZEH相当」などを高断熱の指標として掲げていることが多いです。
「ZEH相当」はそこまで悪くない性能ですが、「断熱等性能等級4」は高断熱と呼ぶにはちょっと…といったとこです。
わからない人向けに整理しておくと、今あげた基準は以下の並びになります。
HEAT20 G2 > HEAT20 G1 > ZEH相当 > 断熱等性能等級4
これらの基準に関する詳しい説明はまた別の記事で行いますが、「HEAT20 G2」ぐらいから高断熱かなあ…くらいに思っておいてください。
あくまで目安なのでこの基準を鵜吞みにしすぎないようにお願いいたします。
高気密はC値=1.0以下ぐらいから
これまた温熱環境に詳しい人たちの意見を聞くと、C値※=1.0以下を高気密とする人を見かける印象です。(※C値とは家の隙間を示す値で、低いほど隙間が小さく高性能)
ここを基準としている理由は、換気が計画通りに行えるのがC値=1.0以下からといわれているからです。
このC値という数値は、家をある程度まで建てた後に、以下の写真のバズーカのような装置で計測することで確認することができます。
これを「気密測定」と呼びます。
気密測定は家の隙間がしっかり埋まっており、換気が正しく行えるかを確認するために非常に重要な作業です。
たいへん恐ろしい話ですが、この気密測定をしていないハウスメーカは少なくありません、というかしていないメーカのほうが多いと思います。
つまり、ろくに計測もしていないのに高気密を自称しているわけですね。
詐欺といっても過言ではありません。というかはっきり言って詐欺です。
以上のことから「気密測定」をしており「C値=1.0以下」であることが高気密の基準であると覚えておいてください。
ちなみにですが、本格的に高気密の家を建てている会社であればC値=0.5以下を当たり前のように記録する会社もあります。
そのほかの目安
断熱性・気密性の数値以外にも高高住宅かどうかのヒントは隠されています。まず、先ほど述べたように気密測定を普段からしているかどうかは重要です。
これをしていないとそもそも高気密かどうかも判断できません。
そして温熱環境を気にしている会社はすべからく実施しています。
エアコンの設置数も重要なヒントです。
家のサイズにもよりますが、延床面積30坪ほどの総2階の家を前提とすると本当の高高住宅であれば家中の空調をエアコン1~2台で可能です。
もし各部屋にエアコンを配置するような設計になっている場合、その設計士が高高住宅のことを熟知していないか、高高住宅ではないのでエアコンをたくさん配置する必要があるかのどちらかでしょう。
また、普段からハイレベルな温熱設計をされている設計士さんは、シミュレーションもしっかりされています。
光熱費が大体何円くらいですというようなざっくりとしたものではなく、この設計なら各部屋の温度がこれくらいになりますというかなり詳細なシミュレーションです。
以下は私の家をシミュレーションしていただいた実例です。
高高住宅を真剣に設計している人たちは、こういったこともしっかりされています。
(ここまでされる設計士さんはハイレベルな方だと思います)
このように、数値以外にも高高住宅を示す証拠はいろいろあります。
数値だけでなく、その設計士さんがどういう考えで設計をされているかということにも注意をしてみてください。
終わりに
というわけで今回は高高住宅の問題について述べてみました。明確な定義がないことに加えて、最近の流行に乗っかり、とりあえず「弊社は高断熱高気密です」と自称する例が少なくありません。
実際に私も経験済みです。
そこで、誤解を与えること覚悟でどれくらいが高断熱高気密の目安となるかということを述べてみました。
本来であれば施主がこんなことを考えなくても本物の高高住宅が建てられるのが理想なんですが…
残念ながら現在の日本の基準は緩く、施主側がある程度知識を身に着けないと偽物をつかまされてしまう可能性は低くありません。
ですので、目安ではありますが高断熱と高気密の基準を示してみました。
あくまで目安であることには留意してください。
改めて、高高住宅を建てる場合は以下を大体達成できているか確認してみてください。
断熱性:HEAT20 G2グレード
気密性:C値=1.0以下
このほかにも気密測定の有無、エアコンの数、詳細なシミュレーションの有無あたりもヒントになると思います。
必ずしもこれらが快適な生活を保障するわけではありません。
しかし、快適な家を建てることに近づけると思います。
今後もいろんな記事を通して、皆さんが高高住宅を建てるために必要な情報を示せるように尽力したいと思います。
では。
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