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第15回 分譲マンションと民泊に関するトラブル事例

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コロナ禍により、外国人旅行者は前年同月比99%減だが…

日本政府観光局(JINTO)によると、新型コロナウィルス感染症の影響で、2020年4月に日本を訪れた外国人旅行者の数は約3千人であり、前年同月比でマイナス99.9%ということが分かりました。

2020年6月現在、全国の緊急事態宣言は解除されたものの、常に感染第2派の脅威は衰えることはありません。いずれこの事態が収束した折は、以前と同じように日本に多くの外国人旅行者が訪れることが望まれますが、その際でもやはりトラブルは避けたいものです。

今回は、購入した中古分譲マンションにおいて民泊トラブルが発生してしまったA氏の事例を紹介します。

ゲストルームには頻繁に見知らぬ外国人が

A氏は東京都にある中古分譲マンションを購入しましたが、約3か月後には「このマンションには民泊トラブルが存在しており、このままでは資産価値が低下していってしまうのではないか」という悩みを抱えることになってしまいました。

トラブルの概要は「区分所有者(分譲マンションの各部屋の所有者)の親戚や友人のために用意されているゲストルームに、見知らぬ外国人が頻繁に宿泊している」というものです。

区分所有者の間では、①特定の人物が予約を繰り返しているためゲストハウスの予約がとれない、②セキュリティ上の懸念、③静かで穏やかな住環境の破壊、④区分所有者の共用施設を活用したビジネスがなされ、特定の人物のみが利益を得ている、ということが問題視されていました。

これに対する不安や不満をきっかけにマンションを売却する人が相次げば、資産価値の低下まで招いてしまう可能性もあることでしょう。そこでA氏は、このマンションを仲介してくれた不動産会社F社が民泊の管理も行っていたことを思い起こし、相談をすることにしました。

民泊トラブル解決の道筋

A氏から相談を受けたF社は、まず大手民泊仲介サイトを閲覧してこのマンションのゲストルームと思われる部屋の貸出状況を確認。すると、確かに掲載されているのが確認できました。次にF社は、A氏に「サイト上のメッセージで物件のホストであるB氏まで物件掲載取り下げ依頼を送る」ということをアドバイス。

A氏がF社の言う通りにマンション内で問題になっていることをB氏に伝えると、物件はサイトから取り下げられました。

さらにF社は、総会の特別決議でマンションの管理規約を改正して民泊を抜本的に禁止する旨を明記し、その上で、マンションエントランス内掲示板に「民泊禁止」の張り紙を掲示するなどして、再発と他の人の民泊運営の防止に努めるのがよいとアドバイスしました。結果、A氏と管理組合はF社のアドバイスを実行し、民泊運用を防止することができました。

平柳 将人 このコラムの執筆者
平柳 将人(ヒラヤナギ マサト)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、大手資格取得の専門予備校LEC<東京リーガルマインド>で講師として働きつつ、中央大学法科大学院を卒業。現在、(株)M&Kイノベイティブ・エデュケーション代表取締役のほか、(一社)日本不動産仲裁機構の専務理事兼ADRセンター長を務める。

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