まだこのシリーズの記事を読んでいない方は、初回から順番に読まれることをお勧めします。
前回の記事で、実際に銀行やハウスメーカーなどに相談をする前に、JICC、CIC、KSCの三機関からご自身の信用情報を取得して、この記事で扱ったマイナス表記が載っていないかどうかを確認してくださいと述べました。
今回はこの理由について詳しく扱っていきたいと思います。
住宅営業の方にもこの情報は是非意識してほしいです。
Contents
ローン会社に申し込みを行った履歴は半永久的に残る
クレジットカードや消費者金融への申込は今やネットから簡単にできる時代です。中には一括で複数社に申し込みができるサービスもあります。
しかし、元サラ金の私は敢えて言いましょう。複数社に一括で申し込んだり、短期間に数社に申し込みを行うことは審査上確実にマイナスです。
とはいえ、住宅ローンについてはまた別です。
住宅ローンには事前審査という制度があるため、その際に複数の銀行などに事前審査申し込みを行うケースがあります。
この場合、逆に一社一社申し込むよりも一括で複数社に同時に申し込んだ方が良いです。
というわけで、二つの観点から申し込み履歴についてマイナス評価になる理由、そして住宅ローンの審査上不利になる情報をお伝えします。
信用情報には申し込み履歴が半年分残る
前回、信用情報の見方を説明しました。例としてCICを提示します。JICCにもCICにもKSCにも、金融業者に申し込みをし、その業者が審査のために信用情報を照会した履歴が残ります。
この履歴は規定上、半年間残るのですが一度に複数社の申し込みをすると、この申し込み履歴が短期間に多数残ることになります。
この状態を所謂「申し込みブラック」というのですが、一点目のデメリットとして、一度に複数社に申し込みを行うと業者側は「この人はお金に困って申し込みを多数行ってお金を何とか工面しようとしているのでは?」と判断されます。
業者によっては一か月以内の申込件数が~件以上だと否決などといった独自の審査基準を持っているため、先に述べた複数社への一括申し込みはあまりお勧めできません。
また、2点目のデメリットとして、この履歴は6か月(半年)残りますので、場合によってはこの申し込みブラック状態が半年継続するという結果になります。
以上2点が、同時複数社申し込みのデメリットとなります。
直近の申し込み履歴は住宅ローン審査にも響く
住宅ローンの審査を受けようとしている際、また、仮審査から本審査の間にクレジットカードや消費者金融への申し込みは審査否決の原因になり得ます。その理由は、住宅ローンはその利用者の返済能力を収入ベースで算出しています。
しかし、ローンを審査する段階及び実行するまでの間に、その住宅ローン以外の借り入れが増えることで住宅ローンの審査内容に変化が生じます。
例えば、年収500万円で、3000万の住宅ローンの審査をしていたとします。仮にその銀行の審査基準で税込み年収×6までが融資上限と決まっていたとして、審査の段階で他の借り入れがない状態だったのが、ローン実行のための本審査までの間に新規でクレジットカードなどの申し込みが行われた履歴が確認できた場合、審査上マイナスポイントとなります。
その申し込み結果、クレジットカード契約が成約した場合、そのクレジットカードのキャッシング利用枠分を実際に借りていなくても、借り入れをしたものとみなした上で、返済比率を見直します。そうすると、年収500万円の場合の上限融資額3000万円の融資できなくなり、融資可能額が減額される恐れがあります。
また、銀行によってはその行為をもって(これから大金を借りようとしているタイミングで別口で資金調達をしようとしている行為)審査否決という厳しい審査条件を設けている可能性もあります。
最初に、住宅ローンの場合は複数は申し込む際には同時に一括で申し込んだ方が良いということを書きましたが、これも同じ理屈で、一社一社申し込むと後に申し込んだ住宅ローン会社はその前に別の会社で住宅ローンを申し込んでいる履歴を見ることができます。
期間を多少開けて何件も申し込んでいる履歴を見ると、何社もローンを断られていると判断する場合があり、審査上要注意扱いされるケースもあります。
信用情報が消えても、社内情報は残る
前回の記事でも触れましたが、信用情報は一定期間で消えます。従って、過去に延滞などのマイナスな履歴が残っていても、規定期間を過ぎるとその情報は消えるので、消えた後であれば問題のない信用情報の状態で審査を受けることができます。しかし、一点注意しなければならないのは、金融機関は申し込みを受けた記録を独自に残しています。
申込時の勤務先情報や電話番号住所等もそうですし、審査の際に信用情報を照会した記録も残しています。審査が否決になっていたとしても、社内ではどういった理由で審査否決としたかという理由を含めて記録を残している場合が多いです(断り履歴)。
記録を残す理由はいくつかあって、信用情報の照会には本人の同意が必要なので、申し込みをした記録と信用情報照会の記録がセットで残っている必要があります。申し込みもないのに勝手に信用情報を照会する行為は目的外利用として、信用情報機関に知られるとその金融業者は何らかのペナルティを受けます。
実際にあった話ですが、まだ個人情報保護の観点が緩かった時代、和歌山毒カレー事件の容疑者として逮捕された某女性について、マスコミの報道で借金があったという報道がされた際に多くの金融業者が容疑者女性の信用情報を勝手に照会したということがありました。この件は非常に問題視され、その後信用情報機関は目的外照会に関して非常に厳しい姿勢で臨むようになりました。
そういった経緯もあったため、申し込み履歴を各社きちんと残しています。
これが審査にどういった影響を与えるのか?
一度住宅ローンを申し込んだが、その時クレジットカードの支払い遅れがあり、審査否決をされた。
それから数年経ち、そのクレジットカードの支払いも終わり解約済みであり、CICからも履歴が消えているのを確認していたが、同じ銀行に住宅ローンを申し込んだところ、数年前に申し込みをしたときの記録から以前の断り履歴からクレジットカード支払い遅れが原因で審査否決となっていたことがわかり、その銀行の審査基準上それが原因で再び審査否決となったというケースが発生する場合があります。
今回のまとめ
今回は二つの観点から、融資申し込みの履歴が残るお話をしました。まず一点目は信用情報観点です。
- まずは信用情報は申し込みした事実を6か月間(半年)残す仕組みになっています
- 金融機関は融資審査の際に直近の申し込み履歴をチェックしています
また、住宅ローンを申し込み、住宅ローンが実行されるまでの間は決して新たなクレジットカードや他のローンの申し込みは一切してはいけません。
最悪の場合、本審査否決となり住宅ローンが直前で借りれなくなる可能性があります。
二点目の観点は、住宅ローン申し込み時に自身の信用情報が綺麗な状態かどうかを事前に確認することが大事です。
- 各ローン会社は過去の申し込み履歴を半永久的に保存している
- 申込時に信用情報に傷があると、その申し込んだ会社に未来永劫その傷を記録され、その後もそのローン会社から借りられなくなる恐れがある
まずは、JICCとCICとKSCから自分自身の信用情報を取得し、マイナスポイントになるような履歴が残っていないかどうかを確認してください!
ここをクリアしてから、住宅ローンの事前審査などを行う様にしてください。
さもないと、過去のちょっとした遅れなどの履歴から住宅ローンが借りられなくなるかもしれないのです。
今回の記事は以上です。
次回は、良好なクレジットヒストリーを若いうちから作るコツと、意外に知られていない信用情報に登録される情報について扱っていきます。