ども、クロセです。
今回は【コタエル】からきた以下の質問に回答します。
【質問の内容】
はじめまして。※※※※※と申します。(プライバシーのため投稿者名を隠しております。)
いつもブログやコダテルの記事を参考にさせて頂いています。
アイ工務店さんの新商品「Nee-S」の断熱仕様についてクロセさんの見解をお聞かせいただければと思っています。
当方アイ工務店さんで「Nee-S」の契約を行いまして、カタログ上ではかなりの数値が出ていますが湿気対策などの懸念事項がないか心配です。
標準からの変更でよりよくなる点などアドバイスがありましたらご教授頂けると幸いです。(カビ対策やシロアリ対策など)
よろしくお願いいたします。
今回はアイ工務店の新商品「Nee-S」に関する問い合わせです。
ご指名いただきありがとうございます。
私、恥ずかしながらこの新商品の情報を質問で初めて知りました。
(すでに家づくりから離れているもので…(;´∀`))
ただ、アイ工務店の新商品ということで個人的にも興味があります。
ですので、現行品との違いを調べつつ質問者様の疑問に回答しようと思います。
Contents
アイ工務店の「Nee-S」とは?
早速ですがアイ工務店のNee-Sとはどういう商品なのか。公式では以下のように紹介されています。
「もっと楽しく、ずっと快適に。」をテーマに
従来の「Ees」を時代が求めるニーズに合わせ新仕様にリニューアルした
新商品を2023年1月から発売。
新しい「Ees」=「NEW – Ees」から「N-ees」と命名しました。
新商品「N-ees」は、
2050年カーボンニュートラルな社会の実現に向け
住まいもより省エネ性能を向上させる必要性から
「W断熱」+「高性能トリプルガラスサッシ」などを採用し、
UA値0.4以下という高水準な断熱性能を兼ね備えた建物です。
また、ご家族が求める新しい生活様式合わせて
「オリジナル仕様のペニンシュラキッチン」を採用。
時代が求める、家族が求めるニーズに合わせた
高性能・高品質な価値ある住まいを全国のご家族にお届けします。
従来のメイン商品「Ees」の「断熱性能の強化」と「オリジナル仕様のペニンシュラキッチンに変更」をしています。
今回の記事では「断熱性能の強化」に焦点を当てます。
「オリジナル仕様のペニンシュラキッチン」は実際に仕様を見ないと何とも言えませんので。
ちなみにNee-Sの登場によりEesはなくなるようです。
商品追加ではなく、入れ替えというわけです。(公式からEesが消えてました)
コストは高くなると思うので、結構思い切ったなという印象です。
「Nee-S」の断熱性能
公式のページからわかる範囲で見ていきます。屋根断熱と床下断熱
屋根断熱と床下断熱を見てみましょう。ツイッターで情報をいただきまして屋根断熱は吹付断熱材を厚さ200mm
Eesにはなかった遮熱ボードが追加されています。
断熱材に十分な厚みがあれば遮熱の効果はそこまでないといわれていますが、ないよりはいいと思います。
床下断熱はEesですとポリスチレンフォームやフェノールフォームのボード断熱材を使っていたと思います。
Nee-Sでは高性能ガラス繊維となっていますが、おそらくグラスウールのことかと。
ツイッターで情報をいただきまして、床下断熱は高性能グラスウール90mmでしたのでこれもEesと同等です。
ポリスチレンやフェノールと比較して、防蟻的に有利です。
また、ユニットバスの床下は基礎断熱でポリスチレンフォーム50mmのようです。
ユニットバスは床下で断熱できないため、基礎で断熱する必要があるためです。
断熱性的には高性能グラスウール90mmとほぼ同等です。
情報色々いただき大変助かりました。
この場で改めてお礼申し上げます。
外壁断熱
外壁断熱を見てみましょう。Eesから大きく性能が向上した個所①です。
Eesでは吹付断熱材を使った充填断熱90mmのみでした。
Nee-Sではまず充填断熱が発砲ウレタン(恐らく吹付断熱)が80mmです。
そして付加断熱として30mmのフェノールフォームが追加されています。
大幅に性能が上がっているといっていいでしょう。
フェノールフォームは一般的に使われている吹付断熱材の2倍程度断熱性能が高いです。
(中にはより高性能な吹付断熱材もありますが)
吹付断熱相当で換算するとNee-sの外壁断熱材厚みは80mm+60mm=140mmとなります。
Nee-sはEesと比較して外壁の断熱性能が1.6倍程度高いという計算になります。
窓
窓の仕様を見てみます。Eesから大きく性能が向上した個所②です。
Eesではペアガラスの樹脂サッシおよびアルミ樹脂複合サッシが標準でした。
Nee-Sは何とトリプルガラスが標準です。
ペアガラスと比較して断熱性能は1.3~1.4倍程度になります。
過去の記事で何度も言及していますが、家の断熱で最も弱点になりやすいのは窓や玄関ドアですので、この強化はいい選択だと思います。
正直な話、Eesではペアガラスで樹脂サッシも選べるためそこまで悪くない窓です。
そのため、トリプルガラスへの変更による光熱費への影響はそこまで大きくないと思います。
(窓の数にもよりますが)
この強化で何といっても大きいのは窓付近の快適性と結露の抑制です。
トリプルガラスであれば窓付近の快適さはペアガラスよりも大きいです。
また、結露の発生しやすさも結構差が出ます。
雪が降るような地域だと露骨に差が出るでしょう。
断熱性能総合評価
公式ではUA=0.4以下となっていますが、窓を減らせば0.35以下にもなるでしょう。(参考までに、我が家はEesにトリプルガラス採用でUA=0.4でした)
一条ほどではないですが、次世代感を感じる断熱性能です。
ハウスメーカのくくりであればトップクラスといっても過言ではありません。
省エネ区分で言えば6地域なら十分すぎる性能でしょう。
4,5地域でも断熱等級6を目指せるレベルで必要十分といったところでしょうか。
1~3地域では断熱等級5付近なのでまあ悪くないかなって程度ですね。
断熱を総合的に見てEesから大幅に向上した印象です。
追記:改善点
標準からの変更でよくなる点はないかという質問ですが、正直あまりないですね。従来の仕様でしたら防湿シート(ベーパーバリア)がなかったのですが…
Nee-Sでは標準で施工されるようです。
このおかげで内部結露の心配は全くなさそうです。
寒冷地でもある程度寒い地域でもそう簡単に内部結露しないでしょう。
防蟻の観点でも、断熱ラインが床下断熱であったり断熱材にグラスウールを使用など、しっかりしている印象です。
防蟻剤だけでなく防蟻シートも併用されているはずですので割としっかりしている印象です。
(Eesでは防蟻シートを使用していました。Nee-Sで使用していなかったらすみません)
強いて言うならホウ酸系防蟻剤(例:エコボロン)に変えたほうが長持ちするかなあと。
(水に流れなければ半永久的に効果を発揮するそうです)
湿気対策として換気システムは熱交換機能付きの第1種換気を採用しておきたいです。
恐らく換気システムは標準で第3種か熱交換機能付き第1種の選択だと思います。
このとき、第1種換気のほうが夏の高湿、冬の低湿に対応しやすくなります。
室温的にも熱交換機能付きのほうが保ちやすく、給気の不快さも小さいです。
メンテが若干面倒ですので、その点は留意してください。
以下はちょっと自信ないのですが…
あと改善するとすれば床下の断熱材くらいでしょうか。
天井や壁の断熱性能に比べるとやや物足りない印象です。
個人的にはフェノールフォーム系のボード断熱材(例:ネオマフォーム)を厚み70~80mmくらいで施工したいですね。
防蟻的にはちょっと不利ですが、他の防蟻がしっかりしているので問題ないかなと。
加えて、床材を無垢にするとひやっと感がかなり抑えられると思います。
ここまで変更すると結構コスト増になると思いますので、優先度はかなり低めでいいと思います。
ざっくりと思いつくのはこれくらいです。
終わりに
今回はアイ工務店の新商品「Nee-S」について断熱性能を調べてみました。最初に書いたように質問されるまでこの商品を知らなかったのですが、うらやましくなるほどいい商品だと思います。
まだまだマイナーではあるものの、ここ数年ブームのような感じで断熱の重要性が少しずつ知られてきています。
また、世論的にもやれSDGsだのゼロカーボンだの省エネ関連の話しを以前よりも聞くようになった印象です。
そういった中で時代に取り残されないように改良してきたなと。
コスト的には上がっていると思いますが、断熱好きとしては今まで以上にアイ工務店を推したくなりました。
平均以上の断熱性能を求める人はぜひ検討してみても良い商品だと思いました。
おかげさまで断熱材の情報は集まりました。
改めてありがとうございました。
では。