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第8回 人生100年時代に適した投資術は、住宅ローンの○○○

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生きている限り関わる「住宅費」と、どう向き合うべきか?

「30年や35年の住宅ローンを組むなんて、借金返済のために生きているようなもの」

住まいに関する相談内容で、「子供世帯がこのような考え方を持ち、あまり持ち家に積極的でないのですが、どのように考えますか?」という親御さんからの相談があります。

このような持ち家、あるいは、住宅ローンを組むことに対するアドバイスとして、下記のように答えています。

アメリカの投資家であり、実業家でもあるロバート・キヨサキ氏が著した「金持ち父さん 貧乏父さん」という著書のなかで、持ち家とは下記のように表現されています。

自分が住むための不動産「持ち家」 = 「負債」(キャッシュを浪費するもの)

つまり、持ち家とは、お金を浪費するだけのものであり、行ってはならないといいます。
他方で、ロバート・キヨサキ氏が主張する「資産」とは、あくまでキャッシュを生み出すものであり、毎月の家賃収入が入る投資用不動産などこそが「資産」であるので、持ち家や車の保有などは、お金を浪費する元凶であると言います。

しかしながら、持ち家は避けるべきであるとすれば、親の実家などに住まうなどしない限り、賃貸住宅に住まう必要があります。そこでは当然、毎月家賃を払うことになります。

このことからは、冒頭の「借金の返済のために生きているようなもの」と、「家賃を払い続けること」には、行っていること自体に差異はないことになります。

但し、持ち家に関するローンの返済と、家賃の支払いの違いは明白です。
前者は完了するもの、後者は、賃貸住まいである限り、生涯払い続けるものです。

人生100年時代に適した投資術は、住宅ローンの「繰り上げ返済」

私が行う住宅取得に対するアドバイスとして、「人生が長くなるこれからの社会構造においては、なるべく退職・老後という年代に至る前に、住宅ローンの返済を終えることを念頭に置いて下さい」と申し上げています。

その有効な手段が、住宅ローンの繰り上げ返済です。

ひと昔前までは、繰り上げ返済を行うには、その都度、数千円の手数料がかかりましたので、ある程度金額がまとまった時点で繰り上げ返済を行わないとかえって損得勘定的に不利でした。

今では、インターネットで繰り上げ返済手続きを行えば、変動金利の場合も固定金利の場合も、返済手数料を無料とする金融機関が多くなっています。

繰り上げ返済を上手に行うコツとして、ボーナスを貰った月に一括まとめて繰り上げ返済を行うこともあると思いますが、筆者のお勧めは、毎月の家計収支を見定めたうえで、無理をしない範囲内でコツコツ、チョコチョコと繰り上げ返済をする方法です。

毎月の収支を見極めて行うことで、家計のやりくりが次第に上手になっていきます。そして、最も心得て頂きたいのは、住宅ローンを借り入れてからなるべく早い段階で繰り上げ返済を行うことにより、ローン金利の削減には大いに効果があるということです。

このように、繰り上げ返済は、手元資金を圧迫させない範囲において、なるべく早期に行うべきものと位置づけられます(住宅ローン控除との関係には留意する必要があります)。

人生100年時代に適した投資術として、住宅ローンの繰り上げ返済には是非ともこだわって頂きたいです。

住宅ローンの繰り上げ返済よりも、株や投資信託に投資すべき?

他方で、現在の住宅ローン金利が充分に低い状態では、繰り上げ返済を行うよりも、株式投資や投資信託などで運用した方が良いという意見もあります。

この点に関しては、元本割れを避けたいという意見の方がやはり多いことと、これからの平均寿命の延びに対する人生設計の観点からは、なるべく住宅ローンの繰り上げ返済を優先すべきと考えます。

一点、繰り上げ返済を行ううえで気を付けて頂きたいことは、毎月のように手数料無料の繰り上げ返済手続きを行っていますと、ついつい心地良さからか、繰り上げ返済をし過ぎる方が散見されます。その場合に、手元資金が手薄になり、まとまったお金が急ぎ必要となった場合に対処ができなくなります。

また、住宅ローンを組む際に付保する「団体信用生命保険」に関して、繰り上げした分、保険の適用が狭くなる側面があります。

つまり、団体信用生命保険とは、住宅ローンを借りた方が、万一死亡した場合や一定の高度障害に陥った場合には、その後のローンの支払いが免除される保険ですので、繰り上げ返済を行った分については、万一の際の保険適用(その後の返済免除)のメリットを少なくしてゆくことになります。

繰り上げ返済を優先すべきか、団信保険の適用か、他人である私からは、なかなかアドバイスはしかねますが。

松本 智治 このコラムの執筆者
松本 智治(マツモト トモハル)
不動産鑑定評価システム代表、不動産鑑定士。不動産仲介から戸建て建築、宅地造成、ビル再開発、賃貸アパート大家業、エリア調査まで、不動産に関わる現場を広く経験しているのが強み。

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