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第10回 外構・庭は住みながら育てていくもの(最終回)

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早いもので連載最後の記事になりました。

第10回目のコラムテーマは「外構・お庭は住みながら育てていくもの」です。

注文住宅を建てていると、どうしても工程は押しがち、予算もなくなりがちで外構・お庭にしわ寄せが来る事が多くなります。

そして「とにかく引っ越しまでに完成させないといけない!」と、カツカツの予算でとりあえずの外構を造ってしまう事になり、住んでからああすれば良かった、こうすれば良かったと後悔する事になります。

でもですね、外構やお庭って完成していなくても住めますよね。そんなに慌てて造る必要あるのでしょうか?中途半端なものを造るくらいなら、じっくり計画して丁寧に工事をした方がいいのではないでしょうか?

外構は完成していなくても住める

多くの方が引っ越しまでに外構を完成させたいと考えていると思います。それは当然だと思います。全部綺麗に完成してから引っ越しをした方が気分がいいですよね。

でも必ずしも完成していなければいけない、という事ではないんです。

もちろん建築工事中に進めておかないと、後からでは施工できなかったり余分な費用がかかる部分があります。電気配線、水道設備、土留め、インターホンなどですね。

でもそれ以外の部分は、最悪仮設でも住むには問題ありません。無理して適当に計画し、突貫工事をするくらいなら、少しの間我慢した方が納得いくものが手に入ります。

何期かに分けて外構工事を進める方法

完成していなくても大丈夫だからと言って、行き当たりばったりに外構工事を進めてしまうと、ちぐはぐな仕上がりになってしまいます。

まずは最終形態をしっかりイメージした上で、少しずつ工事を進めていくという事が大切です。

一例を見てみましょう。
こんな完成形をイメージしたとします。


大まかな計画はできていたのですが、施工業者が混んでいて引っ越しまでに工事が間に合いませんでした。そこで、最初の段階ではここまでを1期工事として造り、引っ越すことにしました。


え、こんなに何もなくて大丈夫なの?と思われましたか?大丈夫です。

土が道路に流れ出さないように土留めブロックを設置、毎日歩くアプローチと駐車場は泥のままだと汚れるので、砕石だけ敷いておきましょう。電気、水道はもちろん引いてあります。

引っ越し前後で、仕上げ材料などの打ち合わせを進めていったところ、当初の予算をだいぶオーバーしてしまいました。そこで、予算内で納まる範囲までを2期工事として施工する事にしました。

2期工事の完成形がこちらです。


ここまでできていれば、問題なく住み続ける事が出来ます。この状態で資金の目途が付くまで待つことにしました。

3年後、外構とお庭を完成できるだけの資金がたまり、当初の予定通りの外構・庭を完成させることができました。植栽も入り綺麗になりましたね。


大切な資金、よく検討して使いましょう

外構ってこんな風に、少しずつ手を加えてもいいんだと思っていただけたのではないでしょうか。もし無理して完成させない方が良さそうだ、と感じた場合は外構施工店に相談してみましょう。

その場合、少しずつ進めたい理由と完成形のイメージは共有しておいてください。工事の時期を分けるためには、材料の手配や配管工事、法規的な事など総合的に判断する必要があります。素人判断で工事範囲を決めたり、途中で施工業者を変えないようにしてください。

注文住宅を造っていくと、段々と金銭感覚が狂ってきます。数万は微々たるもの、数十万でもそれほど大きな額と感じなくなっていくのではないでしょうか。でもよく考えてみてください。数十万のお金をためるのは大変な事ではありませんでしたか?

大切な資金、後悔のないようによく検討して大切に使いましょう。

満足いく家づくりに外構・庭は不可欠

満足いく家づくりには外構・庭の完成度が不可欠です。それなのにずいぶんと軽く扱われているのも事実です。このコラムを読んでくださった皆様には、外構・庭の大切さを感じていただき、丁寧に計画していただければと願っています。

本コラムの他、幣サイトでも外構・庭のポイントを解説しています。ぜひお読みいただき、後悔のない家づくりに役立てていただければと思います。

「注文住宅の外構徹底解説」

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エクステリア&ガーデン設計室coniwa 外構オンライン相談

藤﨑 香奈子 このコラムの執筆者
藤﨑 香奈子(フジサキ カナコ)
エクステリア・ガーデンデザイナー。二級建築士。6000棟以上の外構設計に携わる。建築工務店を経て、2007年にフリーランスとして独立。建物にマッチした使いやすくおしゃれな外構提案を心掛けている。注文住宅の外構徹底解説

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