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第6回 家を建てる時に気を付けたいブロック塀と建築基準法

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6回目のコラムはブロック塀についてです。

2018年6月の大阪地震で9歳の女の子が学校のブロック塀倒壊にまきこまれて亡くなるという痛ましい事故がありました。それを境にブロック塀の危険性は世の中の関心を集め、2019年1月から一定規模のブロック塀の耐震診断が義務付けられるなど法改正も進んでいます。

本記事ではブロック塀について個人住宅で気を付けたいことをまとめました。

ブロック塀に関する建築基準法

まず安全なブロック塀をつくるための基準を確認しておきましょう。本記事では建築基準法よりも厳しい全国建築ブロック工業会が定めた推奨基準をご紹介します。

※ここで言うブロック塀とは、コンクリートブロックの事で、万年塀・レンガ積・石積みなどは対象外です。

①高さは2.2m以下とすること
②壁の厚さは15cm(高さ2.0m以下の塀では12cm)以上とすること
③壁頂及び基礎には水平方向に、壁の端部及び曲がり角には垂直方向に、それぞれD10(直径1cm)以上の鉄筋を入れること
④壁内にはD10以上の鉄筋を垂直方向に40~80cm、水平方向に80cm以下の間隔で入れること
⑤高さ1.2m(条件によっては1.6m)を超える壁には端部から0.8m以内、3.4m以内ごとにD10以上の鉄筋を入れた控壁(壁高さの1/5以上の長さ)をつくること
⑥鉄筋の末端部はかぎ状に折り曲げ、縦筋は壁頂及び基礎の横筋に、横筋は縦筋にそれぞれかぎかけすること
⑦基礎の高さは40cm以上とし、根入れの深さは35cm以上とすること

簡単に図示したものが次の画像です。新規でブロック塀をつくる場合は、この基準をクリアするようにしてください。

家を建てる前に境界ブロック塀をチェック

まず家を建てる前にしていただきたいのが、隣地との境界部分にあるブロック塀のチェックです。

隣地境界にある塀は、作りかえる時にお隣との協議が必要になるケースが多く、できれば触りたくないものです。そのため、何世代か持ち越された古い塀が多く残っています。それらの塀は古いだけでなく、現行の建築基準法に適合しないものがほとんどでたいへん危険なのです。

家を建ててしまってからでは、撤去・新設に余計な費用がかかります。できるだけ、建物着工の前に改修を済ませてしまいたい箇所です。

既存のブロック塀が危険かどうか、国土交通省が発行しているリストでチェックしてみてください。

インターネットでの簡易診断サイトもご紹介しておきます。
E-toko ブロック塀簡易診断

判断に迷う場合は、筆者の写真無料診断サービスもございますのでご利用ください。
「coniwa ブロック塀写真診断」

これもブロック塀?

ブロック塀というと、一般的にはこういうイメージだと思います。

ですがこちらのような、リブなど模様の入ったものもブロック塀ですし

ブロック塀の下地にタイルを貼ったものも、塗装をしたものもブロック塀です。


全てブロック塀施工基準を満たす必要があります。

そして見落とされがちなのですが、こちらもブロック塀。

門柱の下地にブロックを使っていれば、ブロック塀になります。幅が短くてもきちんと基準を満たすように設計しましょう。

もし自宅のブロック塀が倒壊したら……

もしも自宅のブロック塀が地震等で倒壊し、人に怪我をさせたり、隣地の住宅を損壊した場合どうなるのでしょうか。

何か起きた場合、ブロック塀の所有者の責任となり、賠償責任が生じます。

予算を削るため、基準を満たさない塀をつくったり、既存の基準を満たさない塀を放置するのはやめましょう。新設や改修に数十万かかるかもしれませんが、放置した結果多額の賠償金を支払わなければならなくなるよりずっと安い買い物です。そしてもちろん人命にかかわる責任があります。

ブロック塀診断士のいる施工業者に依頼しましょう

ここまでブロック塀の基準と危険性について解説してきましたが、ブロック塀は本来であれば頑強な構造物です。基準に基づいてきちんと施工していれば、不安はありません。

ブロック塀の事で迷ったら、「ブロック塀診断士」のいる施工業者に相談してください。

基準を守って、安心安全な住まいを手に入れてくださいね。

藤﨑 香奈子 このコラムの執筆者
藤﨑 香奈子(フジサキ カナコ)
エクステリア・ガーデンデザイナー。二級建築士。6000棟以上の外構設計に携わる。建築工務店を経て、2007年にフリーランスとして独立。建物にマッチした使いやすくおしゃれな外構提案を心掛けている。注文住宅の外構徹底解説

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