第5回 建築会社を決める前にしておきたい2つのこと。

もし、まだ4回目のコラムをお読み頂けていない方は是非読んで頂ければと思います。
(第4回目コラム:これからの家づくりは工務店ファーストへ!?)
初級編では、建築会社さんを探す方法として
■ 先ずは、インターネットやSNS、雑誌などで自分たちで探してみましょう!
■ また、建築会社さんの紹介サービスもつかってみると意外と良いよ!
という話をしました。
今回は会社を探した後の話、
どう比較して、どう判断して行けば良いのか?
をお伝えしていきたいと思います。
あの時、B社で決めてたら…
ご相談者さん:『あの時、少し高かったけど、B社さんですんなりお願いしておけば良かったです。。。あの時、下手に迷ってしまって、家の性能と見た目の価格だけで決めてしまって、実はすごく後悔しています』
『…最終的に価格も上がってしまい、…むしろ高くなってしまったように思いますし…。』
この話、実際に相談者さんのリアルな感想です。
先ずは、この経緯を話していきたいと思います。
この方は、契約前の最後の会社選びのタイミングで
● A社:気密・断熱性能にすぐれた会社
● B社:デザイン提案が優れた会社
の2社で迷われ、その上で、
■ お施主様:『正直、、、A社の提案はたいした事なかったんですが、性能が高いのと、価格もお値打ちに見えたし、…なんでもできますって営業さんに言ってもらって』
という判断から、A社(性能と価格)を選びました。
…結果は、、、
この話、皆さまはどう思われるでしょうか?
恐らくですが、会社の比較で、バランスよく家づくりを検討していくと、
A社(性能や価格)にするか?B社(デザイン)にするか?という状況になる方も多いと思います。
その際、上記のように、『A社にB社のデザインを真似してもらって…』という考えになることも出てくることもあるかと思います。
はい、今回のコラムで、そういった時に、『…やっぱり、B社にしておけばよかった!』とならない為に、ここで知識を学んでおきましょう。
…因みにですが、こういった契約後のご相談は、実際に私どもがおこなっている家づくり相談でも、とっても多いご相談者さんの悩みの一つですし、最近とても増えているように感じています^^;

デザインを真似するのが一番難しい??
はい、結論から言えば、【デザインを真似するって、難しい!】なんです^^;
建築会社さん選びにおいて、ここの理解がとっても大切だと、このタイミングだからこそ思います。
家づくりは、どうしても、比較しやすい部分、例えば価格や性能などの数値で判断してしまいがちなのですが、これから家を考えるのであれば、是非知っておきたい所かと思います。
もし私がA社とB社で迷ってA社に決めるとしたら、
『B社の提案を内緒でA社に持っていって、それをそのままつくって貰えば良いじゃん!』
とはならず
↓
『B社で出来る範囲で最善の間取りを考えよう!』
となります。
なぜ、このような判断をするのかというと、以下の2つが言えます。
■ 1.契約後の打合せで出てくる問題
■ 2.その会社の施工能力
です。先ずはここの説明をしていきますね。
デザインの難しさ①:契約後の打合せで出てくる問題!
はい、一つ目に、契約後の打合せで出てくる問題があります。
ここは、大きく3つのポイントがありますので、解説していきますね。
1-1:契約後も変更は沢山でること。
一つ目は、
① .契約後も打合せが続き変更はどんどん出ること。
です。
間取りの打合せやデザイン提案は契約後もずっと続きます。
むしろ、デザイン提案に関しては、契約後からスタートという会社さんも多いです。
間取りの変更
● 『ここの収納はもっと増やしたい』
● 『洗面の位置をずらしたい』
● 『やっぱり和室をもう少し広げたい』
デザインの変更
● 『ライティング計画は?』
● 『ここの壁はどういったデザインにする?』
● 『LDKの見せ場はどうつくる?』
などの変更は契約後もドンドン出てきます。
例えば、上記のお客様の話で言うと、
契約前にB社の間取りに似せた状態で契約をする。
↓
その後のA社さんとの打合せで、【変更を繰り返していった】
↓
最終的に『こんなはずでは…』となってしまう。
という流れですね。
はい、この契約後の変更があるが故に、デザインが難しいと言えるのです。
もしA社(デザインが微妙な会社さん)で決める場合は、デザインや間取り提案も、かなり煮詰めてから、『もう、このまま建てたら満足できる!』ぐらいの状態で契約をして頂くのが一番です。
契約後に、
● 『え、このデザイン、出来ないの?』
● 『これを変えると、そんなに費用UPするの?』
とならないように、契約前に詰めるだけ詰めて頂きたいところです。

1-2:間取りとデザインは違う!
二つ目は、
② .そもそも間取りとデザイン提案は違う!
です。
例えば、
■ 『キッチンに奥様が立った時、ここに窓があれば、外もみれますし、この位置ならテレビも見れます!』
→これは間取りの提案です。
■ 『キッチンに奥様が立った時、この窓がここからあるから、その先に中庭の植栽が綺麗に見える。窓をこう繋げれば、より開放的に感じる事が出来ますし、リビングの見え方もここにラインが通るのでカッコいいです!』
→これはデザイン提案ですね。
といった違いです。
同じ(ような)間取りであっても、デザイン提案の違いで
■ 構造計算が必要な間取りかどうでないか?
■ 造作やインテリア費用がどれだけ入っているか?
が違いますし、そもそも、建築会社が対応できる提案なのか?は意識しておきたいところです。
1-3:担当者さんの質
三つ目は、
③ .担当者さんの質
です^^;
ここは、上記二つの問題点もふくめて、すべての起点となる所です。
● 契約後の打合せ
● それを図面として表現する為に、設計部門に依頼する時
● 現場で細かい指示をする時
担当者さんの
● 提案センス
● コミュニケーション能力
● 経験値
がとても重要になってきます。
全てクリアしている場合は安心ですが…、、、そういった担当者さんであれば、他の会社さんと迷う事も無いかもしれませんが…^^;
デザインの難しさ②:その会社の施工能力
デザインを真似る事が難しいポイントの二番目は、その会社さんの施工能力の問題があります。
解り易いので、2回目のコラムで、ご紹介した画像をつかいますが、
↓↓一般的に多い家づくり、LDKの写真↓↓

と
↓↓デザインに拘っている施工事例の写真↓↓

では、そもそも会社として施工できる、出来ないが出てきます。
例えば、いくら担当者さんがこの違いを意識できるセンスを持っていたとしても、
実際に施工できるかは別問題なのです。
『これをしようとすると、200万円ぐらいかかります』
営業さん:『写真のような窓の多いリビングにすると、構造等級3(最高ランク)がとれません!』
という方もいる一方で、等級3を問題なく取れる建築会社さんもあります。
営業さん:『これをやろうと思うと、ここだけで200万円ぐらいかかります!』
という方もいる一方で、純粋に設備の仕入れ価格のUPの50万円ぐらいでできる建築会社さんがあります。
はい、
● 会社の対応能力と
● そもそも初回の提案時に予算をどこまで見込んでいるか?
がポイントです。
特に会社さんとしての対応能力の判断をする為にも、もしA社(性能と価格)で決められる場合は、そもそも、契約後にデザインの詰めがおこわられる事になるので、もしB社のデザインを真似してもらってということになるのであれば、最後の最後まで打合せをした上で、契約して頂く必要が出てくるかと思います。
…会社から『決めて下さい!』と言われても、頑張って引き延ばして頂く必要があるぐらい価格の違いや、そもそも出来る出来ないは出てきます^^;
『ここまでくるのに3年かかりました。』
建築家:『このデザインを表現できるようになるまで、3年かかりました。』
建築家:『その間、施工会社さんと、つかう部材や施工方法で、意思疎通をする為に、現場でかなりやり取りをしてきました。…うちのデザインは恐らく真似できないと思います。』
という話を聞きました。
勿論、全て鵜呑みにする必要はないかもしれませんが、実際に家づくりにおいて、この表現する難しさを感じてもらえる話でもあるかと思います。
岡田監督の勝負の神様は細部に宿る!ではないですが、家づくりは、現場で細かい細かい指示が出せるかどうか?でかなり変わります。
少しまとめてみたものを写真と文字で画像を付けておきますね。


と同時に、予算UPはいくら??も意識しないといけません。
会社をどう見抜く??
はい、すみません、前置きが物凄くながくなってしまいましたが^^;
本題に入ります。
では、こういった事も含めて、
■ そもそも、担当者さんのセンスを見抜けるの??
■ 会社の施工能力はどうすれば判断できる??
です。
…勿論、デザインだけで家を決めるのも違いますし、今の時代だからこそ、家の性能や価格も重要で、疎かにはできません。
色々と検討して頂いた上で、デザインで家を決めるなら、そこに性能や価格も考える必要があります(こちらは次回のコラムで少し細かく話をしていきます)し、性能や価格で家を決めるなら、そこにデザインの事も考えてもらいたいと思います。
最終的には価格とのバランスも重要ですね。

(中級編)現場見学で比較する!
では、どうしたら良いのか??
ですが、
はい、会社判断のための伝家の宝刀、現場見学会があります^^
特にデザインの判断においては、完成現場の見学が一番解り易いです。
その現場の設計をした担当者さんの力量や、施工能力を判断する為に、実際に現場で参考にしていただけることは多いです。
ここで一つだけ守って頂きたいのが、現場を見る順番です。
① .好きなデザインの会社さんの現場見学に行く。(B社)
↓(あまり時間をおかず)
② .性能や価格で決めようとする会社さんの現場見学に行く。(A社)
(決める為ですので、二回ぐらい行けると良いかもしれません)
この順番で見て頂くことで、恐らく、A社さんで家づくりをお願いするときに、どれぐらいの違いがあるか?が解っていただけるかと思います。
当然、見る現場は、提案を受けているものに近い現場が良いかと思います。
もし、この現場見学に参加して、違いを感じた場合、
『真似る事は出来ないな!、、、A社なりの家づくりで考えよう』
と潔く方向転換してもらった方が、実際に家が建った時のイメージのギャップは少ないかと思います。

(上級編)その場でリライトで提案者の力量チェック!
さらに上級の判断をしていくのであれば、
例えば、
■ インターネットで良いな~とおもった間取りを一つピックアップする。
↓
■ 『こんな感じの間取りが良いと思っているんだけど、○○さんだったら、どうします??』
とその場で聞いてみて頂くこともおすすめです。
その時の回答が結構重要です。
担当者さん:『この間取りやこの施工事例がお好きなら、今の間取りでこんな提案もできますね』と、その場で今出ている間取りの改善案をしてくれる場合は少し安心できます。
担当者さん:『こうしたら!』とパパっとラフスケッチを書いてくれたりすると、よりイメージが出来ます。(ラフスケッチを書いてくれるか?というよりも、そのイメージが近いか?がポイントです。)
新しい刺激をどう取り入れるか?
上記のようなことを何故すると良いのか?ですが、家づくりは、
■ 初回の間取り提案をする(担当者)
↓
■ お客様としての意見を言う
↓
■ 変更する(担当者)
↓
■ また、意見を言う。
の繰り返しで打合せは進んでいきます。
つまり、その会社さんとの打合せは、一番最初の提案が打合せのベースになってしまう。事が殆どです。
初回提案時にお客様から『これは、全然違う!』と言えればいいですが、初めての買い物でプロに対して言える方も少ないかと思います。
つまり、何となく進んでいってしまう事も多く、フっと振り返った時に、『ん、この家で本当に良いのかな?』となる事も多く出てきてしまいます。
それを劇的に変えようと思うのであれば、外からの空気を入れないといけません。
契約前であれば、他の会社さんの提案を出してもらう事も出来ますが、契約後はそうはいきませんので、その時にしてもらいたいのが、上記のことです。
インターネットなどで見つけてきた素敵な施工事例や素敵な間取りを見せて、『こうしたい!』とお客様が言って頂くことで、新たな刺激が入ります。
出来れば、契約前に、こういった事をしていただき、その時に
『う~ん、こんなことをすると価格が上がっちゃうから、辞めた方がいいよ!』
という話を出してくるような場合、デザインは諦めてもらうか、他の会社さんを当たる判断をしてもらった方が良いかと思います^^;
また、これをする事で、契約後の打合せのイメージもできます。
■ 担当者さんが、色々な提案を出してくれるか??
■ プロである会社さん側が、しっかりと引っ張っていってくれるか??
■ 親身に考えてくれるのか??
の判断にもなります。
是非、打合せの際に、おもむろに聞いてみて下さい^^笑
まとめ
さて、5回目のコラムは如何でしたでしょうか?
こういった事を事前に理解しておくことが出来ると、家づくりはより楽しいものになっていきます。
第4回、第5回で間取りの提案に関しての話をしてきました話ですが、このコラムで最初からお伝えしていますが、
今の時代だからこそ、家づくりは『家のデザイン(間取りも含め)にこだわっても良い!!』です。
是非、楽しんで家づくりをして頂くための方法として知識を入れて頂ければと思います。…と言いつつ、基本的な話も大切ですので、次回はそういった話もしていきたいと思います。
【1000件以上の家づくり相談実績から、知っておきたい10個の事(6回目)】
家の気密・断熱性能を高める為の3種の神器
の話をしていきたいと思います。
興味のある項目かと思いますので、こちらも楽しみにしていてくださいね^^*毎回毎回長々となってしまいorz

牧原 央尚(マキハラ テルヒサ)
愛知県を中心に家づくり相談を行っているTERRACE.R(株)代表取締役。大手ハウスメーカーで5年半の営業経験後、2010年から家づくり相談サービス「Rebro at home」を行っており、これまでの相談実績は1000件以上。一件一件の相談に対して、個別で長くフォローしてきた経験から、家づくりの考え初めから完成までの一連の期間に起こりうる、問題点などを解決してきています。 建築会社の探し方、お金の事、間取りの事、インテリア、エクステリアの事、現場が始まってからの事など、家づくりに関しての専門家として、公平中立な立場からアドバイスしています。