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第3回 ハウスメーカーの値引きは言ったもの勝ち?!

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づくりはとても夢の広がる買い物ですが、その期待感と同じくらい気になるのが【お金】に関すること。

注文住宅はメーカー希望小売価格のような「基準値」が存在しないからこそ、

● 「この価格はそもそも適正なの?」
● 「どこまで値引き要求していいの?」
● 「会社による違いはなに?」

等、価格に関しては解らない、判断できないことだらけだと思います。

第2回目のコラムでは、『契約後の思わぬ予算UPを防ぐ』に関しての話をしましたが、そこには『大きな値引きがあるから、という理由で契約してはダメですよ!』と書きました。

また、私がこの10回のコラムを通じて一貫してお伝えしたいことは、お客様が『価格以外の判断基準を持つこと』です。

はい、そのためにも、価格に関する知識もしっかりと学んでおく必要があります。
価格に関する知識は、

● 部材や設備の適正価格の判断
● 提案による価格の違い
● 家全体の価格の構成要素

などもありますが、それらの知識は、とてもこのコラムではお伝え出来ませんので、今回はそれらの知識をすこし飛ばして、ズバリ!建築会社さんの値引きとその裏事情!という話をしていきたいと思います。

もちろん、値引きはあくまで【おまけ、本当に最後の最後の一押し】ぐらいの感覚でないといけませんが、『値引きがあるかないか?』、なら当然値引きはたくさんほしい!ですよね(笑)

大きな買い物だからこそ、建築会社さんとのやりとりの中でうまく値引きを引き出す技術も必要だと思いますし、知っておいて損はないはずです。

会社のタイプ別に値引きのクセを見抜く!

では、話を進めていきたいと思いますが、まず、家づくりで値引きを最大限に引き出すことを考えると、会社別の値引きパターン、つまり“クセ”を知る必要があります。

そして、そのクセを説明する為に、建築会社を4つのタイプに分類する必要があります。

  1. 大手ハウスメーカー(ハウジングセンターにあるような会社)
  2. 中規模な工務店(従業員の規模が30人以上の工務店)
  3. 小規模な工務店(それ以下)
  4. 個人の設計事務所(建築家)

の4つのタイプです。

繰り返し言いますが、あくまで最終決断をする際の最後の一押しを建築会社からもらうための値引き交渉としてくださいね^^

大手ハウスメーカーとの値引き

先ずは大手ハウスメーカーさんから話をしていきます。
大手ハウスメーカーさんの値引きは、

● 初めからある程度の値引きが考えられていること
● 資金計画は営業さんがつくること
● 値引きを引き出すためには“上”を引っ張り出すこと

の3つのポイントがあります。

ハウスメーカーさんの場合、そもそも【値引きありき】な見積りであることが殆どです。営業さんからは、『最近はなかなか値引きできなくなったんですよ。』と言われるかもしれませんが、多くのご相談者さんを見ていると、値引きありきの状態は今も変わらず続いているようです。

*本当に一部の業績の良いハウスメーカーさんや、坪単価が定額制のローコストメーカーさんなど、値引きがない会社もあります。

そして、その予算(お客様に出す総額の予算表)は、担当の営業さんが作成し、ある程度の値引き額までは営業さんの裁量で行うことができることを先ずは理解して頂ければと思います。

どういうことかを具体例を挙げると、例えば、家の総額が3123万円(家の本体価格以外にもオプション費用、外構費用、インテリア費用、その他の諸費用なども含めた総額)になったとします。

営業さん『う~ん、お客様は3000万円以内って言ってたな~』となれば、自分の判断で123万円の値引きができるということですね。

逆に営業さんの裁量ということで、『あのお客様は、値引きに喜ぶタイプかな』と考え、総額をわざと3300万円(本当は3123万円なのに)に上げて、最初から300万円の値引きがあるように見せる、こともできたりしちゃうんです…^^;

希望小売価格がないからこそ、
例えば、『総額が希望予算よりも、すでにオーバーしているから、インテリア予算は最低限にしておこう!本当は地盤改良費用も予定予算として入れておきたい所だけと、最初は抜いておこう!』などの調整が営業さんでできたりもします。

…結構怖いんです、この話^^;

最初の値引きは無視が一番!(笑)


ちなみに、『あなただけに!今回特別に!』と値引きする理由は、

● 現場見学会の協力値引き
● 太陽光発電キャンペーン
● 決算月の特別キャンペーン

など、それらしい文句はいかようにも作れますし、その月の営業成績が決まる月末になんとか結論をもらうための文言『○○月の特別値引き』なんていうのも多くあります。

はい、結論から言えば、値引き額が他の人より多いのか?本当に特別値引きなのか?は分かりませんし、お施主様が『この値引きは多いのか???』とヤキモキしたところで、正解は出ません^^;

だからこそ、値引き額の多さで判断するのはダメ!ということでもあり、ハウスメーカーさんってそんな体制なんだ、くらいの感覚が最初は良いかと思います。

その上で、抑えておきたい値引きのコツは、最後の項目【上司を引っ張り出す】にあります。
こちらは、このコラムの最後にお伝えしますね。

*値引きに関しては、e-戸建てさんの口コミでも探せるかもしれませんので、ぜひ探して参考にしてみてください。

中規模な工務店での値引き

中規模な工務店さんの値引きの実情は、

● 値引きではなく、提案での工夫

がメインのポイントになります。

もちろん、100万円前後の値引きがあることも多いのですが、大手ハウスメーカーさんと違って、そもそも値引きありきの体制ではありません。

あくまで“工務店さん”として考えることが吉で、そうなってくるとポイントは『お客様の要望にどれだけ合わせることができるか?』になってきます。

例えば、お施主様から『総額から100万円下げたい!』という要望があれば、値引きで対応しようとするのではなく、提案で対応するのが一般的です。…あくまで一般的には、です^^;

● 「間取りを少し削りましょうか」
● 「同じ部材ですが、壁はこちらのメーカーの方が安く仕入れられます」
● 「耐震等級3(最高ランク)は変えずに、構造体をこれにすれば100~200万円は抑えられます」

などですね。

つまり、値引き交渉というよりは、営業さん、会社さんの提案力・引出しの多さで価格が変わることを覚えておいていただければと思います。

小さな工務店での値引き

小さな工務店さんのポイントは、中規模の工務店さんと同じく、『値引きではなく提案での工夫』がメインになります。

ですが、そこに+αとして、

● タイミング
● 社長の判断

という要素が大きく関係してきます。

小さな工務店さんの場合、年間の施工棟数が5棟~10棟ということも多く、1年を通して常に現場が稼働している会社ばかりではありません。

すると、『う~ん…3カ月間現場が空いちゃう(暇になってしまう)からこのタイミングで契約が欲しい!』というタイミングが出てきます。

もちろん、建築会社さんであればいつだって『契約が欲しい!』には変わりないのですが、その中でも更に『ちょっと無理してでも取るべきか…』というタイミングが出てくるということです。

他にも、

● 近い工事現場があって、時期も被る
● 会社に欲しい時期に引渡しができる(お金が入る)

など、『ちょっと無理してでも…』という気持ちになるタイミングは考えられます。そして、会社の規模が小さくなればなるほどそれは“切実”になっていくように感じます。

…とはいうものの、この話もやはりお客様として、真相は分かりませんし、グッドタイミングになるかどうかは運次第です^^;

なので、この話はそこそこにしておき、重要な話をしたいと思います。

あなたの家を建てたい!と思ってもらおう!

はい、小さな工務店さんの場合、実はもっともっと大切な要素があり、それが【社長の判断】です。

ひとことで言えば、
『この人の家を建てたい!建ててあげたい!』と社長が思うかどうか?
です。

小さな会社さんとの交渉に臨むのであれば、むしろこれに尽きるように感じます。

『ん??…人として気に入ってもらうって話??』と感じるかもしれませんが、それもありますが^^;それ以外にも、

● この人の現場はトラブルなくすんなり進みそうだ!
● 将来的にいろいろと紹介をもらえそう!
● この家であれば、宣伝効果がありそう!

と思ってもらえるかどうか、などもあります。

つまり、『値引きしてでもこの人の家を建てたい!』と思えるかどうかで、逆を言えば、その会社さんにとって嫌なお客様というのも少なからずあるということです^^;

お施主様が『この会社は自分たちに合うのか?』という判断をしているように、小さな会社さんになればなるほど、変な話ですが『このお客様は自分の会社に合うのか?』という部分に敏感になっているということですね。

建築家(設計事務所)での値引き

建築家とは、【△△〇〇設計事務所】といった所ですね。建築家さんに依頼する場合、そもそも値引きという感覚はあまりないです…^^;

もし、予算を下げたいという場合は

● 部材や間取りなどの提案を見直す
という工務店さんでもあった提案を見直す事が一番です。

また
● 施工会社との打合せで予算を見直してもらう
● そもそも施工会社を変える

という予算ダウンの方法があります。

建築家さんの仕事は、あくまで設計と(現場)監理で、実際には工事請負契約はしません。請負契約(実際の工事内容)はその建築家さんが依頼する建築会社さんになります。

その施工会社さんと話合って予算を下げる工夫を考えてもらったり、施工会社さんをそもそも変える事(相見積もりをさせて、それを交渉材料として)で、価格が下がることもあります。

はい、ということで、建築家さんの場合は、値引きという考えはむしろ取っ払いましょう^^

ちなみに、設計事務所さんの中には、設計・監理だけではなく『施工も自社で請け負う』場合があり、その場合に限っては、値引きはあるかもしれません。
ですが、そもそも設計事務所で家づくりをする場合、設計事務所が施工も自社で請け負うようなやり方はちょっと注意が必要かと^^;

はい、話を戻します。

設計事務所の場合も、上記の3つのポイントを考えると、小さな工務店と同じで、『この人の家を建ててあげたい!』と思えるかどうか?が大切だったりします。

何となく疑問を感じる方も多いかもしれませんが、家づくりにおいて、『お互いに相性のいい相手を見つける』ということはとっても重要で、それは、これまで色々な経験をしてきたプロの側のほうが、(とくに小さな規模の会社になればなる程)その意味を深く意識します。

値引きをもらう為の儀式!?

最後に、上述した『値引きを引き出すためには“上”を引っ張り出すこと』という、どの規模の建築会社にも共通する値引きポイントをご説明したいと思います。

多くの会社さんでつかえる武器になるかと思いますが、特にハウスメーカーさんの場合に顕著な話です。

値引きは引っ張れば引っ張るほど、決断を延ばせば延ばすほど、もらえる可能性が高くなる。

です。

…といっても、何か月も延ばせば良いという話ではないので、少し具体例をあげて説明していきますね。

例えば、営業さんの裁量で『今月契約してくれたら!』という名目で200万円値引きがあったとします。(ここでの金額の大小はあまり意識しないで下さいね)

① ご検討者さんとしては、その場では即決せず、一旦持ち帰る。
翌日、「この金額では決められない」と営業さんに伝える。
③ その際、営業さんから「いくらなら?」と聞いてくれれば、「○○万円だったら…」と希望額を伝えてみましょう。
*もし営業さんが返答に困っていたら「御社ともう一社ですごく迷っていて…」と逃げてもらえば、営業さんからアクションがあるかと思います。
*それぐらいのタイミングで上司が出てくる事も多いです。(ちなみに、上司が出てくる理由は、会社としては、お客様に値引きの重さを理解してもらいたい為です^^;)
その翌日くらいには、上司から「会社から○○万円の追加の値引きを取り付けました」と連絡が来ます。
*お客様としては、その話を一旦持ち帰るかどうか?は、その時の状況にもよりますが、その場で「あと○○万円引いてくれたら、今すぐ契約します!」と粘ってみていただいてもいいかもしれません。
⑤ 上司がその場でさらに上と電話でやり取りなどして決断してくれるか、もしくは持ち帰ってもらって(長くても1日で答えは出ます)再度、会社から値引きの結論をもらう。

というのが、上手く交渉できる時に多く見られる流れです。

この流れは、月末になんとか結論をもらうための動きなので、それほど時間がかかることはないと思います。『決断を延ばせば延ばすほど』と言いましたが、おそらく1~2日あれば上記の流れは作ることができるでしょう。

もちろん全部が全部そんな流れになるわけでもありませんが^^;
値引きを引き出す為には、営業さんも会社の決裁をもらうための“儀式”が必要ということですね。

小さな工務店の場合

小さな工務店さんの場合は、最初から社長、つまりいちばん上の人との商談!
という状況も多くありますので、『ここにお願いしたいな』と優先順位が一番上になったタイミングで、その工務店さんに【譲歩できる条件】を打合せしながら探していきましょう。

例えば、

● 建築時期をある程度あわせてあげる
→「〇月着工」にこだわらない
● 引渡し時期をある程度あわせてあげる
→「〇月完成」にこだわらない
● 見学会や知人に勧めたい意思(SNSでの発信力など)がある
→紹介を今後貰えるかどうか?の判断
● その会社さんへの好意度(デザインや提案力、人柄をいかに気に入っているか)を伝える
→人情として「この人の家を建てたい!」と思ってもらう

です。

そして、決断を迫られた時に『あと少しだけ何とかなりませんか??』を上記の理由のようなそれ相応な理由づけをもってお願いしてみてください。

…他にも、例えば、『もう一社と金額の差があって…』などですね。

何度も打ち合わせをこなして人間関係ができていれば、単純に『もう少し値引きして~!』でまかり通ることもなくはないんですが…^^;

建築会社の利益率を知るのも価格交渉の武器に

値引きに関する知識のひとつとして、もし家づくりの検討期間に余裕があれば、会社さんそれぞれの利益率をチェックすることもお勧めします。
それぞれの利益率を知ることで、価格交渉の際に参考になることがあります。

チェックの仕方は、大手さんの場合は企業のIRでも読み解くことができたりしますが、これは少し難易度が高いかもしれません。

その為、こちらのe-戸建てさんのような口コミサイト、その会社で建てた方のブログなどを参考にしつつ、最後は上手く比較(相見積もり)をして頂くといいとおもいます。

比較は、ハウスメーカーさん同士で競合させて、値引きを引き出す。
という方法が、強力なツールになると思います。

逆に、工務店さんの場合は、建設業許可の閲覧という方法があります。
具体的な調査方法やそこで得られるメリットは私のブログで説明していますので、ご参照下さい。

こういったことを知っておく事も値引き交渉で使えたりします。

最も大切なのは「無理な値引きをしないこと」

家を買う!と決めたときに、やっぱり気になるのがお金のこと。
それは皆さん同じです。

やみくもに『値引き!値引き!』ではなく、会社の規模や体制ごとに値引きに持っていくプロセスが異なる、という事実をしっかり把握することがコツと言えます。

選んだ建築会社の提案力や担当者の人柄などを気に入ったら、最後の一押しとして値引きの引出し方を知っておくと、よりスムーズに納得できる金額に到達できると思います。

その際、無理な値引きは、

■ その担当者さんとの関係を崩したり
■ 家の質を落とす要因になったり
■ 二回目のコラムであった、そこからの取返しをはかられてしまうことも

当然ありえる話です。

『値引き要求がしつこい客』という印象は、こちらとしても得策ではありませんよね。
あくまで常識的な範囲で、『ダメなら、それで比較検討していこう!』くらいの気持ちでお願いしてみましょう。

終わりに

さてさて、これで第三回目のコラムを終わりたいと思いますが、第4回目のコラムテーマは、【工務店ファーストで家は考える!…と意外とすんなり進むかも??】です。

ポイントは『工務店さんファースト』で家を考える!
ですが、そちらのポイントを来月のコラムでお伝え出来ればと思っております。

楽しみにしていてくださいね^^
*私の電子書籍【絶対!素敵な家にする!工務店ファーストであなただけの会社をみつける3つの条件】をもとにコラムとして書いていきますので、もし先に知りたい方は、よければご購入いただければ幸いです。

■元ハウスメーカー営業マンの家づくりブログ
建設業許可の閲覧

■電子書籍
絶対素敵な家にする!工務店ファーストであなただけの会社を見つける3つの条件

牧原 央尚 このコラムの執筆者
牧原 央尚(マキハラ テルヒサ)
愛知県を中心に家づくり相談を行っているTERRACE.R(株)代表取締役。大手ハウスメーカーで5年半の営業経験後、2010年から家づくり相談サービス「Rebro at home」を行っており、これまでの相談実績は1000件以上。一件一件の相談に対して、個別で長くフォローしてきた経験から、家づくりの考え初めから完成までの一連の期間に起こりうる、問題点などを解決してきています。 建築会社の探し方、お金の事、間取りの事、インテリア、エクステリアの事、現場が始まってからの事など、家づくりに関しての専門家として、公平中立な立場からアドバイスしています。

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