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第2回 契約後の思わぬ予算UPを避ける方法

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さまは家づくりにおいて、【契約後の予算UP】を意識されたことはありますか?

『建築会社さんから出てきた間取り。うん、何となくこれでいいかな』
『予算も…まぁこれなら何とかなりそう。』
『今月なら値引きもあるし…!』

と思って請負契約書に記名捺印をする。
しかし、契約後の打合せを進めていくと、

『そんな、最終的に予算が300万円も上がってしまった…』
『もっと契約前に検討しておけば良かった!』

というような事にならない為に、今回のコラムは書きます^^

因みに、家づくりにおいて予期せぬ予算UPというのは、わりと頻繁に起こり得る事態で、そういった相談は後を絶ちません。このコラムを読んで頂き、もし自分たちに当てはまっている所があれば、是非、このタイミングで軌道修正をして下さいね。

予期せぬ予算UPが300万円!!!とならないように

ではでは、先ずは、なぜこのようなことが起きてしまうのか、の3つの問題をお伝えする所から始めたいと思います。

【契約後に予算が上がってしまう3つの問題】

  1. お客様の知識が増えていく
  2. 建築会社の契約前の説明不足
  3. 営業さんの数字合わせ

です。

まずは、上に挙げた3つの問題点のうちの①と②について説明し、その上で、契約後の予算UPを防ぐ方法を具体的にお伝えしていきたいと思います。これをおさえて頂ければ、多くの場合は解決できるはずです。

3つめの「営業の数字合わせ」とは、注文住宅業界アルアルでおまけです^^;少し悪意のある話で、住宅営業が無理な値引きの末に契約した場合に起こる事があり、このコラムの最後に簡単に書きますね。

問題点:お客様の知識が増えていく

最初の問題点は、お施主様の知識が増えていってしまうことです。

これは当然の話でもありますが、初めての家づくりは知識がほぼゼロの状態でスタートしますし、家づくりに関わってきて10年以上の私でも『家づくりは奥が深い!』と今でも思います。

お施主様が家づくりの打合せが進めば進むほど、考える時間が経てば経つほど、『こんなやり方があるんだ!』とか『これもいいなあ!』という知識が増えていきます。

そして、それを知ってしまえば、【それをしたい!】という気持ちが芽生えます。『一生に一度、ずっと住む家だし、せっかくだから!』という感覚ですね。ここが予算UPの一番目の要因です。

例えば、

上の写真はどちらも一般的な提案で、契約前の状態です。

しかし、契約後にインターネットで施工事例の写真をいろいろと探し始めると、
□ 『思い切ってこんな感じのリビングはどうだろうか?オシャレで素敵!』
□ 『キッチンに間接照明を設けたりしたいな~』
と思ったりしますよね。

例えば、『下の写真のようなデザインが本当はしたい!』となった時の話をしたいと思います。

お客様:『色々と調べてて、こんな感じの家づくりがしたいんだけど…』
営業マン:『この感じにすると…ザックリですが合計で300万円ぐらいかかるかもしれません。』
お客様:『…え、LDKだけで300万円??』

と、会社によってはなり、以下のような見積りが提示されます。

● 構造計算が必要(10~30万円)
● 窓の費用UP(その先の庇も含めて)(50万円ぐらい…?)
● 壁のタイル費用のUP(10~30万円?)
● 天井の費用UP(照明計画も含めて)

と部材費用のUPだけで150万円ぐらい。さらに全体的な影響から、最終的な予算UPが300万円、となったりします。

契約前なら、それを聞いた上で「他社にも同じような見積りを出してもらい検討しよう」ができますが、、、という事で、このコラムで意識して頂きたい所は、契約後でも、お客様の知識が増える事で、「ああしたい」「こうしたい」はドンドン出てくるという事です^^;

そしてこの問題の解決策は、契約前にできるだけ知識を増やし、自分たちの要望をある程度固める事になります。

問題点:建築会社さんの説明不足

次の問題は、契約時の状態をお施主様がしっかり把握させてもらっていないことで、つまり、会社さんの説明不足です。

契約時の状態とは、契約に含まれている状態(家の仕様など)の把握は当然の話ですので、そこではありません。問題は、今後予測される価格UPの話を会社がしっかりしてくれないことです。

例えば、契約前に、上記の話で300万円ぐらいあがっちゃうかも!ということの説明を受けていない事をここでは問題としています。

ちなみに、なぜ話してくれないか?ですが、

● 上の写真のような家は、そもそもできない
● もし変えるとなると大工さんから変えることになるかも
● 標準外工事が増えれば、他社よりもきっと割高になってしまう

という理由が会社ごとにあり、そういった会社の営業マンさんの立場になって考えると、このような話を契約前にすれば、契約出来ない事の方が多いので、これは説明できません^^;

…と言っても、お施主様としては事前に知りいことです…なので、契約前に、『この会社はどこまで対応してくれるのだろう??』を見抜く必要がお施主様にはあるという事ですね。

営業さんが話をしてくれる事を期待するのではなく、お客様から『こういった事をすると、どれだけ上がるの?』を契約前に聞けるかどうか?がポイントになってきます。

契約後の予算UPの防ぎ方

では、上記のような契約後の思わぬ予算UPを防ぐためにはどうしたらいいのでしょうか。私がお勧めする具体的な策はこちらになります。

の二つの会社さんを比較検討先に入れることです。

デザイン提案をしてくれる会社を見る

【デザイン提案をしてくれる会社】であれば、こちらが何も言わなくても、上の写真のような提案を勝手に(笑)出してくれるので、内装やインテリアの予算がどのように必要なのかを事前に知ることができます。

性能を提案してくれる会社も見る

【性能を提案してくれる会社】を見ることで、『最大限に性能を上げると、金額がどこまで上がるのか?』を知ることができます。

二つの会社から、実際に提案を受けることで、腹に落ちる

ポイントは、自分たちの家として提案を受ける事で、腹に落とせるです。

別の強みを持つ会社をじっくり比較検討して知識を増やし、その知識を【腹に落とす体験】がものすごく重要なファクターなように思います。

*これは、これまで1000件以上の家づくり相談を行ってきて感じることです。

はい、ここまでは大丈夫でしょうか。バランスよく会社選出をして、提案を受ける事が契約後の思わぬ予算UPを防ぐ事ができるもっとも近道だと思って頂ければ幸いです。

会社別の資金計画の比較の仕方

では、バランスのいい数社を選出したあとの具体的な比較方法の一つをご説明します。

*会社の選出の仕方は、また別のコラムで書いていきます。

実際の資金計画表を使って一緒に比較して見ていきましょう。

<資金計画A社とB社の2社の比較>

□ A社(規模の大きな工務店さん)
□ B社(中規模クラスのハウスメーカーさん)
を比較してみた資金計画表です。

A社のような、規模の大きな工務店さんは、そのエリアで広告宣伝などもよくしてくれていますし、B社のようなハウスメーカーさんは、ハウジングセンターに行けば見つける事が出来ます。

つまり、皆さまが取っかかりやすい二つのタイプの会社さん、とも言えます。
ですが、この状態で比較したとしても、正直どっちもどっち…な感じになりそうです。

このままだと、
□ 『値引き額が大きいから…何となくお値打ちな気がする』
□ 『営業マンさんが良い感じだから』
といった曖昧な判断で会社決定になってしまいそうです^^;

デザインと性能の会社を比較検討先に入れる

そこで、先ほどお伝えした2つのタイプの会社、C社とD社を入れてみます。
<資金計画A社、B社、C社、D社>

□ C社(デザイン提案)
□ D社(気密・断熱性能にこだわった大きな工務店)
です。

少し個別に解説していきますが、
<C社(デザイン)の資金計画>

C社のポイントは以下の3つです。
□ 現場が難しいから、設計・監理費用も高い
□ そもそも本体価格に含まれている提案が全然違う
□ 造作費用もしっかり入っている
が解ります。

C社さんからデザイン提案を受ける経験をする事で、『C社以外でデザインアップするために200~300万円ぐらいの費用はみておこう』ということが見えてきたりします。

<D社(性能)の資金計画>

D社のポイントは以下の3つです。
□ 気密・断熱性能を高める工夫が解る
□ しかし、性能に予算をかけすぎていて、その為に家の坪数が小さい
□ 造作費用などが完全に抜け落ちている

ことがD社を見ると解ります。

【性能を上げる】に関しては、今はある程度インターネットなどで事前情報を掴む事も出来ますが、こういった所の提案を聞く事で、『自分たちはどこまで求めればいいのか?』を考えるきっかけとなります。

例えば、『性能は大切だけど、間取りも大切!』と思ってA社で契約をしようとした時、『A社の標準仕様のグラスウールの断熱材と第三種換気システムだと流石に心配だから、吹付断熱と第一種換気システムにグレードアップしたいな』となれば、それを事前に会社に聞く事が出来るようになるということです。

結果として120万円ぐらいの追加が必要!という事が解ります。
*具体的な金額UPは各社に聞いてみてください。

このように、特徴の違う4社を比較することで、契約前に以下の表の赤色部分の予算UPを予測することができます。

※D社に関しては、坪数を35坪のままという前提で考えていますが、坪数を大きくした場合の想定も本来はしないといけません。

色々なタイプの会社を見ることによって、契約前には見えていなかった【契約後の予算UP】を【腹に落として、測れるようになる】という事ですね。是非、ここを意識して、会社選定をしてみて下さい。

問題点:業界アルアル:営業さんの数字合わせって??

最後に、冒頭でお伝えした3つめ、営業さんの数字合わせに関してです。
『今なら、○○万円の値引きができます!』という営業トークは、住宅会社に限らずよくある売り文句です。

ですが、注文住宅の場合、実物が無いがゆえに、その売り文句に釣られて契約をしてしまうと、そのあと困ったことになる場合があります。

契約後も家づくりの打合せは続きます。その際、家の仕様や間取りで追加・変更は必ず出てきます。

例えば、インテリアの打合せをしていて、リビングのドアを「やっぱりこっちにしようかな」と変える場合、営業さんから『このドアに変更すると、3万円上がります』と言われたりします。

はい、ここが問題です。
実は、「この3万円が本当に適正価格なのか??」が、お施主様では判断できないのです。

特に、契約時に値引きをたくさんしてもらい、且つ、あまり検討時間を設けずに契約してしまった場合は注意が必要です。

理由は、本当はドアの追加費用は1.5万円だった…なんてことがあります。

これは、残念ながらこんな裏事情が存在する為です。

1. 営業さんがとりあえず契約時にたくさん値引きをして、契約にこぎつける。

2. しかし、会社(上)から「最終的に〇〇万円までは取り返せ!」と言われる。

3. 困った営業さんは、値引きし過ぎた分を契約後の追加・変更で取り戻す。

…ということがあったりするんです!全部ではありませんが、これは業界アルアルです^^;

…怖いのが、営業さんがそれをしようと思えば、それをお施主様に気づかれずにできてしまうということです。

ドア以外にも、
● キッチン、お風呂、トイレの仕様UP
● クロス、フローリング、畳の仕様UP
● 外壁や屋根、基礎(地盤改良費用なども含めて)の仕様UP

などなど。はい、ほぼ全ての項目で、予算UPの要素というのは出てきます。

*上記のようなデザインや性能での予算UPの話はまた別ですよ^^;

それらは、契約前に最低限確認しておくべき話でもありますが、あまり検討期間を設けず、勢いで契約してしまうと、こういった時の判断がしづらくなってしまうのです。

…けっして不安を煽っているわけではなくて^^;

そういった事実もあるということを頭の片隅に置いていただければ…くらいの話ではありますが。

でも、怖いですよね^^;

今回のコラムをお読みいただき、今まさに家づくりをお考えの方がいらっしゃったら、たくさん値引きしてもらったからという理由で契約することはできるだけ避けていただきたく思います。

後悔のない家づくりを叶えるためには、金額面以外でもいろいろと考えた上で契約をしてくださいね。

まとめ

2回目のコラム、かなり長くなってしまったので簡単にまとめますが、契約後の想定外の価格UPの原因を3つ
□ お客様の知識UP
□ 建築会社さんの説明不足
□ 値引き後の取り戻し行為

がある事を知って頂き、そしてそれらを回避するためには、

● バランスの取れた会社比較をして契約前に知識を増やすこと
● 契約内容・仕様の他にも色々と検討をすること
● 値引き額だけで契約を決めない
がポイントになるということですね。

コラム3回目は、「ハウスメーカーの値引きは言ったもの勝ち~判断価格は?~」をお送りする予定です。
今回でも少し触れた【契約時の値引き】についてお伝えしていきます。

牧原 央尚 このコラムの執筆者
牧原 央尚(マキハラ テルヒサ)
愛知県を中心に家づくり相談を行っているTERRACE.R(株)代表取締役。大手ハウスメーカーで5年半の営業経験後、2010年から家づくり相談サービス「Rebro at home」を行っており、これまでの相談実績は1000件以上。一件一件の相談に対して、個別で長くフォローしてきた経験から、家づくりの考え初めから完成までの一連の期間に起こりうる、問題点などを解決してきています。 建築会社の探し方、お金の事、間取りの事、インテリア、エクステリアの事、現場が始まってからの事など、家づくりに関しての専門家として、公平中立な立場からアドバイスしています。

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