第4回 外構業者選びのポイント

前回のコラムでは、外構工事をハウスメーカー、外構専門業者のどちらを選ぶか考え方のポイントを解説しました。
第4回目は前回に引き続き、外構業者選びのポイント。ハウスメーカーではなく、外構専門業者に依頼する方向けのお話です。
外構業社の種類
外構業者とひとくちに言っても、業態は様々です。各種パラメーターで簡単に比較してみます。
外構専門業者(施工は外注)
設計を自社、施工を外注している会社です。打ち合わせ、デザイン、施工管理を自社で行います。
施工は全て外注になるので、価格的にはあまり安くなりませんが、全体的なバランスは良くお勧めです。多くの会社がこの業態で営業しています。
外構専門業者(自社施工)
打ち合わせ・設計・施工・アフターまで一貫して自社で行う会社で、一番のお勧めです。
自社で施工するので余計なマージンが入らず、リーズナブルにかつ質の高いものを提供してくれる可能性が高くなります。
職人、施工専門業者
主に建築会社の下請けとして、施工のみを行う業者です。一番のメリットは価格の安さです。現場での変更など、その場でお願いして柔軟に対応してもらうことが可能です。
ただし外構図は自分で用意する必要があるため、一般の方にはお勧めできません。またホームページを持たない会社がほとんどなので、見つけるのは困難です。
デザイナー、ガーデナー
個人で活動している専門家です。筆者もこのカテゴリーに入ります。
デザイン力とセンスが売り。施工は基本的に外注になりますが、ガーデナータイプの人は自分で植物の植え込みができます。簡単な施工ができる人もいます。よりオリジナリティの高い外構を希望する方にお勧めです。
価格は、人によって幅があります。
気をつけたいのが、法律には疎いデザイナーもいます。資格(エクステリアプランナー、造園施工管理技士、建築士など)を保有しているかどうかを確認しましょう。また個人や小規模で営業しているので、アフター対応のすばやさはあまり期待できません。
外構業者の探し方
外構業者は地域密着の中小零細企業が多いので、情報はあまり多くありません。どうやって探したら良いか困ってしまう方も多いのではないでしょうか。いくつか探し方をご紹介しますので、試してみてください。
webで探す
多くの方がやっていると思いますが、インターネットの検索で探す方法です。
「外構 施工 ○○(エリア名)」などと打って、出てきた会社を比較します。
ただ、外構業者の中にはホームページを持たない会社が多くあります。webではそうした会社を見つける事はできません。
SNSで探す
上述したようにホームページを持たない会社が多いのが外構業界です。でもSNSは、やっているというケースがあります。
フェイスブックやインスタグラム、無料ブログ(アメブロ、LINEブログ)などでも検索してみましょう。
ガーデン雑誌で探す
ガーデン雑誌に掲載されている会社の中から探す方法です。ただし外構業社は施工エリアが狭いので、気に入った会社がエリア外なんて事はよくあります。
電話帳で探す
昔ながらのアナログな方法です。WEB媒体を持たない古くから営業している会社を見つける事ができます。
一括見積もりサイトで探す
外構の一括見積もりサイトで探す方法です。
コーディネーターに希望を伝えると、ご要望に合う会社を数社ピックアップしてくれます。
探す手間が省けて楽で良いのですが、紹介料がかかるのでその分費用が上がるのがデメリットです。また、こうしたサイトに登録していない優良企業も多くあります。
建築予定地の近くで探す
建築予定地の近くに店舗がないか、探してみましょう。
また素敵な外構のお宅に、業者を教えてもらう方法もあります。少し勇気がいりますが、褒められて悪い気はしないものです。積極的に聞いてみましょう。
ハウスメーカーの完成見学会で、オーナーに聞いてみるという方法もあります。
不動産屋に紹介してもらう
土地から購入された方は、お付き合いのある不動産屋がいると思います。その担当者に聞いてみましょう。不動産の営業さんはアンテナを張っている方が多いので、近隣の外構業者を紹介してくれる場合があります。
ただし業者間で紹介料のやり取りがあります。その分、見積に上乗せになると思っておきましょう。
選び方のポイント
いくつかピックアップできたら、どの会社に依頼するか絞っていきます。その時のポイントを確認していきましょう。
どんなテイストが得意か
その会社がどんなテイストを得意にしているのか確認しましょう。施工例やプラン案をみて希望のデザインに近い会社を選んで下さい。
純和風が得意な会社に洋風デザインを依頼しても、思ったようにはいきません。また逆もしかり。
なるべく近くの会社を選ぶ
施工場所になるべく近い会社を選びましょう。メンテナンスや追加工事など、完成後も外構業社とは付き合いが続きます。
外構専門会社は少ない人数で運営している事が多いので、遠方だと細かい事にすぐ対応してもらえない場合があります。
自社でプランをつくれる会社を選ぶ
施工だけでなく、設計もできる会社を選びましょう。その方がオーナーの要望が具体的に反映されたプランになります。
担当者との相性
建築と違い、ひとりの担当者が打ち合わせから施工監理までトータルで行う事が多い外構工事。会社選びと同じくらい、担当者との相性は大切です。
複数社、比較して選ぶ
業態、得意なテイスト、価格など会社によって様々です。必ず複数社から比較して選びましょう。
こういう会社には気をつけよう
他社の図面を使って安く施工する会社
外構図は知的財産であり、他社の図面を使って施工する事は倫理的に好ましくありません。
他社の図面を利用する会社はコンプライアンス意識が低く、設計図を大切にしていないと想像できます。
果たしてそんな会社が手抜き工事をしないと信じられますか?
違法施工を請け負う会社
外構工事にも建築基準法に関わる部分がありますが、役所の確認申請や検査がなく、罰則もありません。そのため外構業界は長年、違法建築に無頓着でした。
しかし2018年の大阪地震で、違法ブロック塀が倒壊し幼い命が失われた事故が注目されたように、だんだんと世の中の目は厳しくなっています。
違法と知りつつ工事を行い事故になった場合、賠償責任を負うのは所有者です。また近隣の目が厳しくなっているので、役所に報告されて後から取り壊し指導を受ける場合もあります。
無責任に違法工事を請け負う会社に依頼するのはやめましょう。法令遵守は基本です。
外構業者選びのポイントまとめ
外構業社を選ぶのはたいへんです。建築本体の打ち合わせで疲れ果てて「そんな元気残ってない」 という声が聞こえてきそうです。
でも外構は、数百万かかる工事。そして、家の外観や住み心地を左右する大切な要素です。
頑張って働いたお金を無駄にしないように、こんなはずじゃなかったと後悔しないように、もう一踏ん張りして下さい。理想のマイホームまではあと少しですよ。
とは言え、あまりに多くの選択肢に混乱してしまった方がいらっしゃるかもしれません。
弊サービスで、WEBを使ったテレビ会議(Skype又はZOOM)での外構相談をご用意しております。業社選びやプランについてお困りの事があれば、セカンドオピニオンとして相談に乗らせていただきます。
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次回コラムは「おしゃれな外構にするためのポイント」を予定しています。

藤﨑 香奈子(フジサキ カナコ)
エクステリア・ガーデンデザイナー。二級建築士。6000棟以上の外構設計に携わる。建築工務店を経て、2007年にフリーランスとして独立。建物にマッチした使いやすくおしゃれな外構提案を心掛けている。注文住宅の外構徹底解説